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婚姻届を出した日に結構な段ボールはなくなったけど、それでも細々した物はなかなか片付かなくて、毎日片付けをして、やっと落ち着けるようになった百と住んでる家に、玄関からいくつもの声が聞こえる。
「おじゃましま〜す」
入って入ってと迎えに行った百が、みんなとリビングに入ってきた。
龍ちゃん、がっくん、天。
ヤマさん、みっちゃん、ナギ、陸、いおりん。
トウマ、トラ。
気づけば来る人が、芋づる式に増えていったのは言うまでもない。
ぐるんとリビングを見渡したヤマさんが口を開いた。
「結構広いですね。来れない奴も余裕で入りそう」
ソファや椅子を勧めると、その前にと、龍ちゃんとヤマさんとみっちゃんが食事を持ってきてくれたらしく、テーブルに並べてくれる。
『お皿に盛り付けたほうがいいのはやるよ？』
「そうか？じゃあ手伝うぜ」
みっちゃんが数個のタッパーをキッチンに持ってきてくれたので、一緒に盛り付けた。
「俺たちからはお酒とジュース持ってきました」
「おっ？トウマありがとー！ん？有名な焼酎じゃん！お高くない？」
「これ位じゃないと口に合わないんじゃないかと思って」
トラが自信ありげに言う。
確かに高いやつのほうが悪酔いしないよね〜って笑顔の百が、グラスを人数分持っていった。
「Aの一人暮らしの家さ、あんなに近かったのに一度も行ったことなかったけど、なんつーかこの家、百さんとAっぽいよな」
『ん？そう？むしろリビングは百の前の家っぽいと思うけど』
あちこちに写真が飾られている。
3人で撮った写真。昔の百がサッカーしてる写真。私が幼い時エレクトーンの発表会してた時の写真。
婚姻届を掲げて2人で笑ってる写真。
ちょっと写真が増えただけで、イメージは前の百の家だ。
寝室は前の私の家に近いけど。
「ここは防音室とかあるんですか？」
いおりんがカウンターごしに聞いてきた。
首を横に振る。
『ううん』
「え？じゃあエレクトーン出来ないじゃないですか。前はご自分で支払って防音室作られたんですよね？」
縦に首を振ってから口を開いた。
『ここ、元々防音が特化してて、音楽やってる人が多いマンションなんだ。百とマンション選ぶ時何を優先させるか話し合ったんだけど、防音があって24時間セキュリティがしっかりしてれば、階数が高くても部屋数が少なくても良いかって』
｢でも部屋数少なくねぇだろ｣
『まあ最低限の部屋数は確保したかったから』
部屋選びって難しいよねと苦笑した。
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作者名：miz | 作成日時：2021年11月8日 12時
