173 〜百side〜 ページ23
ーーユキが言った言葉が、頭にこびりついて離れなかった。
“万だって同じなんだから気にするなよ”
それはユキにとって過去になってる想いが？
バンさんと同じ？
そういう意味？
･･･ってことはーー
婚姻届を記入した日、浴槽にお湯が入ってくのを眺めながら、パニックになってる頭を整理した。
ユキの渾身の冗談にしては自然すぎるほど自然に言ってた。
まるでオレは知ってるだろって言いたげな。
･･･知るわきゃないじゃん！想像すらしてなかったよ！？･･･いや、一回ヒヤリってしたっけ。オレが浮気したってAに誤解させちゃった時。
あの時、バンさんどんな気持ちで･･･
「･･･いやいやいや、ユキの勘違いなんじゃない？でなきゃ･･･」
でなきゃ何だという意味の言葉なのか。
ユキに聞かなきゃわかんない。
でももしも･･･オレの考えに頷かれたら？
オレはバンさんに、これからどんな顔して会えばいいんだろう･･･
証人欄にバンさんの名前が入って、めちゃくちゃハッピーだったのに。
こんなに衝撃な事が起こるとは。
あのまま出していいのかな。
Aがソファベッドで寝て、ユキと一緒にオレのベッドで横になるも、結局ぐるぐる考えてしまって中々寝付けなかった。
・
次の日の仕事の後、テレビ局内で見知った4人組の背中が見えてポンと同じ背丈の子の肩を叩く。
立ち止まって振り返ってくれた天に、楽も龍之介もカオルちゃんもつられるように振り返った。
「おはよ！」
「百さん。おはようございます」
話を聞けば、仕事が終わったらしいTRIGGER。
これからIDOLiSH7と食事すると言ってる。
･･･IDOLiSH7･･･
そう聞いて頭を過るのはバンさんだ。
それと同時に、天もAの事好きだったなと、今更ながらに切ない気持ちになる。
オレは一瞬暗い顔をしてたんだろう。3人が顔を合わせたかと思えば、天が窺うようにオレを見た。
「･･･IDOLiSH7に何か問題でも？」
「えっ？違う違う。何もないよ！？」
慌てて笑顔で手を振る。
後輩に心配かけるわけにはいかない。
そういえば、とみんなで食事の計画をしてた詳細を話す。
カオルちゃんがスケジュール帳を開いて確かめてくれて、空いてることが判明した。
「んじゃあまたラビチャすんね！」
IDOLiSH7を待たしちゃ悪いしと思って手を振って去ろうとすると、腕を掴まれた。
「百さん。何かあるなら吐き出してください」
天が真っ直ぐな瞳で、心配だと言うような表情をしていた。
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作者名：miz | 作成日時：2021年11月8日 12時
