164 〜百side〜 ページ14
黒い丸いボトル。
「これ有名なリキュー･･･」
と言ってる間に、次々可愛いフォルムやラベルのお酒が並ぶ。
猫の形、ガラスの靴の形、手のひらよりちっさいサイズのリキュールのセット。
『これで全部』
最後に出たのは果実酒。Aが好きそうな。
「･･･女子会･･･？」
若干引いてるユキ。
逆にオレはテンションが高くなる。
「めっちゃ可愛いじゃん！映えるね！写真撮っていい！？」
Aがいいよと言い切る前に勝手に並べてバシャバシャ撮る。
ユキもAも入れて3人での写真も撮った。
「重くなかった？」
『持ち歩く時間はそんなに長くなかったし大丈夫だよ』
それでも結構な重さのはず。
「ありがとう！！」
気持ちがめちゃくちゃ嬉しい。
ユキのケーキも豪華で、3人でAのいれた紅茶を飲みながら食べる。
Aが不意に思い出したように手を止めた。
『あ、百、婚姻届印刷してきたよ。私書いたからあと書いてくれる？』
「ホント？書く書く！見せて見せて！」
Aが鞄の方に取りに行ってくれる。
ユキが不思議そうに首を傾げた。
「印刷？貰ってきた、じゃなくて？」
「役所に取りに行って貰うのもいいけどさ、折角一生に1度のことだから、書いたら記念にコピーして取っときたいねってAと話してて･･･」
オレの説明は一見にしかず。
Aが茶封筒から二つ折りされてる婚姻届を出す。2枚あるのは、間違った時用かな。
ユキが頷いて口を開いた。
「モモとAらしくて良いんじゃない？婚姻届って自分達が書く以外は何の変哲もないものだけど、記念になるね」
『違うんだよ、千。今、デザイン性のある婚姻届っていうのがあって、キャラクターものとか地域特有とか色んな婚姻届があるの。ダウンロードしたり用紙を購入したり出来るの』
「え･･･？受理してくれるの？」
『してくれるものがあるんだよ』
Aが婚姻届を開いて見せてくれる。
ユキが感心したように、へぇと声を上げた。
Aの名前が、妻になる人の欄に書いてある。
嬉しすぎない！？
オレこんなに幸せでいいの！？
あとでなんかしっぺがえし食らうんじゃないだろうなとか思ってしまう位。
「ほら、こういうイラストがさー･･･」
ウキウキでイラスト部分をユキに見せるために指をおく。
その目線が自然と上にいったと同時に息を呑んだ。
証人の部分。
既に1人の名前が記入されている。
「へぇ、万、証人になったんだ」
瞬間的に、どばあっと涙が出ていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miz | 作成日時：2021年11月8日 12時
