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どうやら千の家から電話してるらしい。
背景に見える部屋がそんな感じ。リビングかな。

『何でテレビ電話にしてるの』

・・・「えー?遠距離なら声だけより顔見れた方が嬉しいっしょ?」
『遠距離はともかく昨日も会ったし。まだ1日目でしょ?』

クスクス笑うと、百が文句を言いたげに口を尖らす。

・・・「昨日は昨日!毎日A見ても飽きないよ!?」
『美人じゃないからね』
・・・「Aは可愛いから!!」

美人は3日で飽きるって言うから言ったけど、それを肯定するように胸を張って得意気に言う百の後ろに、千が近づくのが見えた。
肯定してるじゃん、やっぱり。自分で言っといてなんだか納得いかない。

・・・「じゃあ僕は飽きる?」

慌てたように素早く千を向く百。私には後頭部しか見えない。

・・・「ユキ!?飽きない飽きない!」「もっと言って」「何度だって言うよ!!」

なんで漫才が始まったんだろう。

『話は終わりですか、私を差し置くなら切りますが』

グルンと素早くこっちを向いて笑顔を向けてくる百。

・・・「ユキにヤキモチ久しぶり!!」
『違うから』

思わず肩をすくめて苦笑し返すと、百も嬉しそうに八重歯を見せた。

・・・「そっちコテージって言ってたけどどう?いい感じ?」
『ああ、バーベキューもできるとこがあってねー・・・』

温泉やらホテルやらも話すと、百がワクワクしてそうな雰囲気が画面越しに伝わる。
休みで連休取れたら来ようと話した後、千が、ちょっといい?と、百の肩に手を乗せてから画面に顔を出した。

・・・「新曲なんだけど、編曲したから修正するところあったら言って。後で曲のデータ、スマホに送る」
『わかった』

修正するところがあったら言ってだなんて、自信ないのかな。珍しい。
でも曲を送ってくれるなら少しは対応しやすいかな。

『エレクトーン触りたいなー・・・』

ぽつりと独り言のように言う。
スマホ画面が千から百に替わると、百が多分千の方を見て数回頷いてからこっちを見た。

・・・「ユキがさー、ホテルの人に聞けば何とかしてくれるから聞いてみなって。貸出してくれる店の紹介だったりとかあんだろうからって」
『分かった』

店を紹介してくれても、運べるか弾きに行けるかどうかが問題だよね。車運転できないから。

・・・「じゃあまた明日話しできたらしよーね!」

満面の笑みの百。
遠距離を堪能してるような様子に、ふっと微笑んで頷いた。

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作者名:miz | 作成日時:2021年9月6日 8時

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