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新曲を聴きながら雑誌用と会報用のインタビュー用紙に各々自分の答えを書く。
その後事務所ビルの別のフロアで会報の写真を撮りに行った。
椅子に座って適当に話してる所を撮りたいと言われて、珍しく真っ先に千が口を開いた。
「そういえばモモ、Aに聞いたの？アレ」
「ん〜？何？」
「Aの元カレ」
「『！？』」
カチーンと百が固まる。
私も目を見開いて血の気が引いた。
忘れてた！！
事故だの怪我だので、すっかりポーンと忘れてた！！みっちゃんが折角助言してくれたのに！
っていうか、やっぱ百聞いたんだ。誰に！？いやそれよりもいつ！？
ソロっと百の方に視線をやる。
百の顔がぎこちなくギギッとこっちに向いた。
「百くん、表情硬いよー？Aちゃんも笑顔笑顔！」
カメラマンに穏やかに注意されて切り替える。
心は穏やかというわけにはいかなかった。
ーー
「ユキ！撮影中に言わなくてもいいじゃんか！」
撮影が終わるが早いか、鞄を置いてる部屋に行くがてら百が抗議した。
「いや、だって･･･僕はずっと気になってたから」
「だとしても！時と！場合が！」
「じゃあモモは気にならない？」
「めっちゃ気になるよ！！」
ぎゃあぎゃあといつものように大げさな態度の百が、言うだけ言ってグルンとこっちを向く。
『･･･元カレなんていないけど』
「だろ！？ほら〜！大丈夫だってオレわかってたもんね！」
気になるって言ってたのに、急に得意気な態度を千に見せる百。
何その下手な嘘。
明らかに今、ホッとしてたじゃん。
「Aの撮影場所から帰ってきた日、どうしよう〜聞けなかった〜って僕に泣きついてきたのに･･･」
千がショックそうな顔してる。
下手な嘘に騙される千。いや、裏切られた感なのかな？･･･って･･･
『あれ？じゃあ私が病院に行った日には知ってたの？』
百がキョトンとして頷いた。
「うん。その1日前に聞いた。噂が広まったのはその2日前位らしいけど、オレの耳には入んなくてさ」
「僕はモモが泣きついてきた日に知った。だから僕ら、言い寄られるのが急に増え･･･」
「ユキ！それは！」
百が人差し指を口につけて、シー！と焦ったような表情をしている。
僕“ら”。
“言い寄られる”
面白くなくて、つい口が尖る。
『ふーん･･･』
「なに！？Aだって教えてくんなかったでしょ！？イケメンとか！数回会ったとか！」
そういうのまで聞いてるんだ。
私は言い寄られてるの一切聞かなかったのに。
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作者名：miz | 作成日時：2021年9月6日 8時
