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夜遅いからと、他の人への詳細報告は明日朝イチでとみっちゃんが話してくれたらしい。
温かいタオルで体を拭いた後寝間着に着替えてから、汚れた服を手洗いする。
ある程度落ちてから部屋に干した。コテージだし夜中に洗濯機は回せない。
･･･百、今日は電話できなかったな。
電話も来てない。こっちからするか否か。
もう夜の11時。
体痛い･･･疲れた。
ぽすっとベッドに腰掛ける。
安堵して、大きく息を吐いた。
『あれ･･･』
ふと手元を見ると、震えてるのに気づく。
怖かったのか、私。
今更だな。
両手にグッと力を入れても震えは止まらない。これはマズい。
百に電話しても包帯とかは長袖に隠れて分かんないだろうけど、手の震えとかだと様子が違うことに気づかれる。
スマホに手を伸ばしてラビチャを開ける。
文字を打とうとするも、震えが落ち着かず思うように入力出来ない。
今日は電話できないけどごめんねって打つだけなのに。
コンコンとドアをノックする音がして顔を上げる。
誰だろう。
『はい』
返事をするも、うんともすんとも言わない。
首を傾げて仕方なくベッドから腰を上げる。震える両手は後ろへ。
「･･･A、起きてる？」
周囲へ漏れる声を気にしてか、やや抑え気味な声に大きく目を見開く。
飛びつくようにドアを開けた。
「あ、良かった。起きてた」
ホッとしたように優しく微笑まれる。
10日間会っていなかった百が、そこにいた。
胸の奥からじわっと熱が広がる。
意味分かんない。
なんでだろ。
なんで泣きたい衝動に駆られるんだろう。
「入っていい？」
コソッと内緒話でもするように口元に手を当てる百。
うんうん頷くと、百がドアノブに目線をやって閉める。
その目線が私に移った途端に、百の口角が上がって、目尻はへにゃっとだらしなく下がった。
『･･･っ』
涙が引っ込んで思わず吹き出しそうになって口を押さえる。
そのままチラッと百を見ると、今度は口を尖らせて文句を言いたげ。
「何？Aはオレに会いたかったって思ってくんないの？」
あ、文句言われた。
『顔見たら泣きそうになる位には･･･』
続ける言葉を、百の顔を見て言うには少し恥ずかしくて目をそらす。
『･･･会いたかっ･･･っ』
急にふわっと百の香りが鼻をくすぐる。
抱きしめられてる。
「･･･うん。オレも」
片手は頭に添えられる。
百の肩越しに震えがなくなった自分の手を見て、百の肩口に顔を埋め背中にそっと手を回した。
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作者名：miz | 作成日時：2021年9月6日 8時
