112 〜百side〜 ページ12
仕事後、小鳥遊事務所にお土産持ってって駐車場でもいいから待たせてもらおうとすると、バンさんが中に入れてくれた。
「百くん、千。うちの環くんとナギくんが、千の家にお世話になるって朝一番に言いに来たから驚いたよ」
少し申し訳なさそうに眉を下げて微笑んでるバンさん。
ユキはケロリとした様子で口を開く。
「僕も驚いたよ。朝ちょっと楽屋で仮眠した間にそんな事になってて」
「ユキがいいけどって言ったんだって説明したじゃん」
「確かにそんな夢は見たような気がしなくもないけど」
「でしょ！？」
仕事で頭が覚醒したユキに事のあらましを説明すると、泊まっていいって言ったっけ？と首を傾げながらも環とナギを泊まらせたげると頷いたユキはイケメンだった。
「まあ前にも大和くんがお世話になったし、昔ほど心配はしてないよ。あの子達をよろしく。迷惑かけるなよ」
「･･･それ、なんで僕が言われるの･･･」
「おまえ時々容赦ないからな」
真面目な顔でキッパリ言ったバンさんの言葉に、ユキは冷や汗をかいてる。
ユキの反論はないみたいで、思わずバンさんと目があって、同時に肩をすくめて笑顔になった。
・
「ちょっと環くん。スリッパ履いてほしいんだけど。ナギくん、ここなちゃん飾るならこっちにしてくれる？」
ユキんちに来た途端、あらゆる所にここなちゃんを飾ろうとしたナギを止めたユキは、ここら一帯、とリビングの一角を指差す。
環はしぶしぶスリッパを履きに玄関に戻った。
「OH、いつでもどこでもここなが目に入る位置にいて欲しいワタシには非常に難しい問題です！」
「ここ僕んちなんだけど･･･」
昨日、寂しさもあってユキんちに泊まらしてもらったけど、環とナギが泊まるとなるとオレは帰んないとな。
環とナギに振り回され気味のユキの表情を見ると、苦笑いが漏れた。
夜ご飯は4人で焼肉を食べる。
ユキは当然のように野菜だけだったけど、たくさんユキと一緒に買い込んだ肉は、育ち盛りの環がいるからか、ペロリと平らげてしまった。
「そういやももりん、Aっちんちに結構行ってるって聞いたんだけど、Aっちいなくて部屋寂しくねえの？」
んん？
Aんちに結構行ってる？？
そこまでたくさんじゃないけどどこ情報だろ？
あ、あん時の記者が関係してないだろうな？
瞬間的に考えを巡らすも、とりあえず置いといて、環が聞きたいだろう質問の核心を答えることにした。
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作者名：miz | 作成日時：2021年9月6日 8時
