57 〜百side〜 ページ7
「棗くんが昨日彼の所に行ったそうです。彼女たちの先輩に対する態度の再教育を、とアドバイスしてくれた事と、他の人を使って竹刀をAさんの前に転がせて躓くように仕掛けた事や、Aさんの陰口や本人に悪口を言っていた事を教えてくれたので、指導する者として謝罪しにいらしたようです」
確かに、指導する人としては謝罪しにいくのがが常識だ。
巳波にことのあらましを聞いて本人に注意しました、で終わるわけはない。
Aは怪我してんだし。
「すぐに厳重注意したそうです。ただし彼も渋る棗くんに無理に聞いたようなものな上、Aさんから聞いたんじゃと思われるのは避けたかったので、先輩に対する礼儀と、今後仕事に影響するってことを教え込ませた位だそうです」
「え？それって、Aは謝罪すらされないってことじゃ･･･」
ユキが冷や汗をかいた。
「そもそも謝る気あんのかな。そういう気があんのなら、Aなら気づくと思うんだよね。そんでうまく謝罪の場作ってあげそう･･･」
言いながらマツリちゃんとAの剣道対決がある理由って、それなんじゃ･･･とも思ったけど、確証はない。
そうかも･･･とオレに同意するユキに目線をやると、おかりんが口を開いた。
「どちらにしろAさんは大事にするつもりはなさそうですね。見守る方向で、例の方々には現場マネージャーに気をつけてもらうと言ったところにしますか」
「それがいいかもね〜下手に刺激するかもしんないし」
「僕が行く」
オレがおかりんの言葉に頷くと同時に、ユキが口を出す。
「Aのドラマ撮影で、高校を次に使う時はいつ？」
ええ！？押しかけんの！？
Aとその子たちの間にある問題の根本的なもんもわかんないのに！？
ユキの真面目な･･･というより若干怒ってるような表情に、こっちが焦る。
おかりんがジトッとした目をした。
「その子たちに何かするつもりなら教えられませんよ？」
「しない。Aが何かされた時は、マネージャーより僕が介入した方が事務所的に安心でしょ」
「安心できませんが！？」
「じゃあいい。監督あたりに聞く」
「やめて下さい〜！百くんもなんとか説得して下さい！」
オレに同意を求めるおかりん。
「遊びに行くテイで見に行くならいんじゃない？あ、マネ子ちゃんとこの候補生！千尋が出てるよね！？聞こう聞こう！」
「百くん！」
Aの事なら協力してくれそうなマネ子ちゃんに、ラビチャした。
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作者名：miz | 作成日時：2021年7月3日 9時
