206 （MOPへの決意） 〜天side〜 ページ8
じゃあまたと大きく手を振る百さんと、小さく手を振る千さんとAさんを３人で手を振って見送る。
百さんから、Aさんが悶えてた話を聞いてから、心の棘のようなものがスッと嘘のように消えた。
ボクもたいがい単純。
あれからAさんとも普通に喋れたし。
ちょっと照れたように笑いながら話してくれた、今日のAさんを思い出す。
一歩、進めたことが嬉しかった。
お互いに同じ気持ちだと感じれる事が嬉しい。
思いに耽っていると、龍が口を開いた。
「仲直りしたみたいで良かったね。」
「え？誰か喧嘩したの？」
そんな様子なかったけど。
「え？喧嘩じゃなかったの？」
「誰と誰が。」
龍とかみ合わない会話。
楽が呆れたように息を吐いて、後頭部に手をやった。
「Aと天。ほら言ったろ。おまえら何かあったのかってさ。百さんだけには違うように見えてたらしいけど。」
ああ、と頷く。
「別に喧嘩してないよ。お互いにちょっと気まずくなっただけ。ごめん、心配させたね。もう大丈夫だよ。」
大丈夫って言うのも何だけど、っていう気まずさだったけど、心地いい気まずさとちょっとの勘違いだけだったから。
って説明までしなくてもいいよね。
それでも申し訳なくなって言うと、龍がホッとしたように笑った。
「そうか。Aちゃんと天って喧嘩するイメージなかったから、ちょっと驚いちゃって。良かった。」
･･･喧嘩するイメージない･･･？
それが妙に引っかかるも、その日は順にお風呂に入って休んだ。
・
「ZOOLまで、MOPを辞退･･･！？」
姉鷺さんがMOPの曲を持ってきたと言って来た。
MOPと言えば･･･と思って、ZOOLの辞退を教える。
驚く楽に、ボクは頷いた。
調べたサイトを表示させたノートパソコンを見せながら口を開く。
「おかげで、全部ヤラセだって噂が立ってる。」
姉鷺さんが怒って、龍が月雲社長は頭が切れる人なんだとションボリとして言った。
でも、こんな事で負けたくはない。
負ける気もない。
MOP出場権があるって事は、ボクらに投票してくれたファンが、たくさんいるって事だから。
ギュッと拳を作って、口を開こうとするも、沈黙を破ったのは楽だった。
「･･･ヤラセだとか、茶番だとか、人になんて言われたっていい。俺たちのファンが用意してくれた、晴れ舞台だ！感謝して、まっすぐに気持ちを伝えよう。TRIGGERを待ってくれている人たちに、中途半端な姿は見せられないだろ？」
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作者名：miz | 作成日時：2020年12月22日 9時
