笑顔のキミが好き【if･･･九条天】 5 （完結） (ページ7)

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大体なんでAさんは、何もなかったような笑顔で食事出来るの。
初めてだったでしょ･･･

･･････いや違う。

ボクが知る限りでは、Aさんの初めてのキスは千さん。

数年前ドラマが話題になってたっけ。
日本にいなかったから観てはいないけど、恋人疑惑みたいに週刊誌に載ってたらしいから知ってる。

まあ、だから、Aさんは変わったんじゃないか疑惑がボクの中で浮上したりしたこともあったわけだけど。

「天？･･･その、口に合わない？」

黙々と食べながら、モヤモヤ考えていたせいか、龍の言葉でハッとした。

いけない。
美味しい食事、こんな気持ちで食べるなんて、作ってくれた龍や千さん、Aさんに失礼だ。

「･･･ごめん。ちょっと顔洗ってくる。」

食事の途中で立つなんて行儀悪いけど、リセットさせないと。

「あ。」

少し歩いて止まる。

「美味しいから、食事。」

みんなを振り返ってそれだけ言うと、洗面所へ向かった。

龍「良かった。何か怖い顔してたから心配しちゃった。」
楽「龍が作った飯、いつも美味いって言ってんじゃねえか。違うこと考えてたんじゃねえか？」
百「最初はポーッとしてたよ？ねー？A？」
『何が言いたいの･･･ほっといて･･･』
千「Aは天くんがいなくなった途端に顔真っ赤だけど、大丈夫？普通逆なんじゃないの？」
『だから今は放っておいて･･･』

そんな会話がされてることも知らず、洗面所でザバッと顔を洗う。
冷えていく顔の熱と共に、冷静になっていく頭の中。

過去は過去。
仕事じゃないから割り切れない部分もあるけど。

別に千さんに妬いてるわけじゃないのも確かだし。
じゃあボク、何にイラついてるの。

「･･････。」

何でもないような顔してるAさんにイラついてるんだ。
ボクだけ恥ずかしい気がしてるようで。

･･･ボクは勝手だ。

何回か洗ってタオルで拭いて簡単にケアすると、だいぶ落ち着いた。
ふうと一息ついてみんなの所に戻る。

食事を終えて、楽と百さんとボクで後片づけをした。

「天、Aと何かあったのか？」
「何で？」
「も～楽ってば、そこは温か～く見守って見ない振りしたげようよ。」

百さんがウププと嬉しそうに笑う。

「聞く気満々の顔ですよね。」
「違う違う。さっきAの様子も変だったし天が怒ってたからさ。楽が心配したんだよ。でもオレにはAが悶えてたように見えたんだけど違うかな～？」

百さんの言葉に驚いた。