笑顔のキミが好き【if･･･九条天】 5 （完結） (ページ43)

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Aさんの引っ越しから約1年。
Aさんは約1年前から、ボクらが住んでるマンションと同じマンションに住んでいる。
階数は違うけど。

同じマンションって便利。
勘ぐられることも少ないし、噂にもならない。

家デートしか出来ないけど。

Aさんの引っ越し前に比べて会える日は多くなったし、一緒に食事する日は増えたし、不満はないんだけど。
Aさんは物足りないって思ってないかな。
ボクだけ物足りなさを感じてるのかな。

昨年のFriends Dayが終わった頃、九条さんにボクらTRIGGERを認めさせ、あとはAさんとの関係がバレないことと、ボクが二十歳になるのを待つだけとなった。

とはいえ、ボクらが芸能界で現状維持することは簡単ではない。
けど、トップになったボクらのお祝いをしてくれるという皆の気持ちも嬉しいから、仕事が落ち着いたらという条件で、昨年お祝いはして貰った。

ただAさんが個人的にお祝いをしたいと言っていた。
何でも良いから欲しいのない？って聞かれたけど保留にしてる。

･･･物足りないって言っても、二十歳までは欲しがらない方がいいよね。

ふぅ、と息を吐いて、何なら満足できるのか考えていた。

数日後、Aさんの部屋。
一緒に作った夕飯を一緒に食べ終わってから、Aさんに欲しいものを言った。

『天、本当にお祝いそれでいいの？』
「いいよ。むしろ難易度高いでしょ？」

もうすぐ来るバレンタイン。
その前後の休みを合わせて、見つからない外デートのプランを考えて。

言うまでもなく、これ以上Aさんに触れないためのお願いであり、バレンタインデートだ。

休みが取れる候補は姉鷺さんに出して貰ってる。
あとはAさんの休み。

『うーん･･･思いっきりデートっていう訳にはいかないかもよ？』
「いいよ。同じ時間に一緒に同じ事出来れば良いんだから。」
『ん、わかった。おかりんにラビチャする。』

スケジュール帳を出してテーブルでページをめくってから、スマホで文字を打ってるAさん。
すぐに岡崎さんから返信が来たらしい。

日付だけ決めて、デートプランが決まったら教えてもらえることになった。

帰り際、玄関で靴を履きながら迷う。
ボクがずっと聞きたくて、でも聞く時期としてはまだ早いと思ってること。

でもさっき、スケジュール帳をチラッと見た時に気づいた。
ボクらの業界は、5ヵ月先が空いてるとは限らない。

靴を履いて立つと、Aさんの方を向いた。