笑顔のキミが好き【if･･･九条天】 5 （完結） (ページ40)

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238　（引っ越し）　～天side～ページ40

「A、食器全部入れたぜ。次何する？」
『ありがとう、がっくん。えーと･･･あ、冷蔵庫の掃除やってない！』
「わかった。」

楽が頷いて去ると、入れ違いで龍が来る。

「Aちゃん、カーテン入れるダンボール、作っちゃっていい？」
『龍ちゃんお願い！ありがとう！』
「どういたしまして。」

「･･･せわしない･･･」

思わずため息をはいた。

2月。

朝から楽と龍と3人で、Aさんの家に来た。
Aさんが今日、引っ越しするから。

Aさんの寝室で布団を、布団袋に入れてるボク。
目覚まし時計とか小物を服が入ったキャリーケースにしまってるAさん。

『午前中に終わらなかったら帰って良いからね？』
「わかってる。引っ越し業者の人に見つからないようにって事でしょ。」

Aさんとボクが、付き合っていくことを譲らないと分かった九条さんは、日本に帰ってきてから、ボクらが付き合ってる事が噂程度でも出れば即刻別れるという事と、TRIGGERがトップになることを条件に、認めてくれた。

期限は20歳まで。

噂程度でもってキツいという言葉が、それで痛手を負った事のある百さんや千さん、楽や龍から出たけど、それくらいの覚悟で認めてもらえるなんて思ってもなかったから、ボクからしたら充分。
Aさんも驚いてたし、ボクにすぐ賛成してくれた。

「ところで、荷物全部業者が持って行ったら、引っ越し先では誰が荷物を受け取るの？」
『私。おかりんが午後来てくれるの。トラックについてく感じかな。･･･ここは、今月末に引き渡し予定だから、余裕ある日に掃除しに来るよ。』

まだ外していない寝室のカーテンを開け、外を眺めるAさん。

『･･･色々あったなあ･･･』

ため息がこぼれそうな感慨深げな物言い。
布団をしまう手を止めて、カーテンを持つAさんの左手に、ボクの左手を重ねた。

「･･･寂しい？」
『･･･うん。ちょっとだけ･･･』

この部屋からは地上は見えないけど、リビングからは小鳥遊寮が見える。

「もしかして･･･ここに住み始めたのって、IDOLiSH7が寮に住むって知ってたから？」
『うーん･･･』

しばらく唸ってるAさんを不思議に思って、左手を離して横に立つ。
Aさんは困ったような顔をしていた。

『叔父さんと私の両方が、良いって思った所がここだっただけな気もするんだけど、記憶あった時だろうから、今の私にはわかんないかな。』

驚いて目を丸くした。