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「説明になってない。知ってるってどういう意味？どこで、何があって、考えが変わったの。話を聞いてる分じゃ、九条さんの言葉を聞いて考えた結果、そう思ったように聞こえるけど。」
『タイミングが重なっただけだよ。･･･天と私が付き合ってる事が夏までバレなければ、距離を置こうとしなかった。他の誰でもない、九条が知ったって事が私にとって痛手なの。九条にとっても一番の痛手でしょ？』
天が目を見開く。
かと思えばスッと目を細めて、呆れたような顔をされた。
「だから何。ボクは仕事とプライベートはきちんと分けられる。仕事優先になるなんてザラ。お互いに分かってるでしょ。デートもしない。付き合ってるって言ったって、毎日連絡取り合ってるだけ。それで満足だから付き合うことを許して欲しい。･･･九条さんにそう言えば良かった？」
いや、呆れてるというより･･･
「悪いけど、満足はしてないよ。わざわざリスクを負ってデートしたいとまで思ってないけど、もっと自由にバレずに会える方法を考える位には満足してない。･･･Aさんはどうして逆を行くの。ボクだけがそう思ってたの？」
怒ってるんだと見えた天の表情が、苦しそうな表情に変わる。
･･･本末転倒だ。
天の未来を守りたくて
天が未来で苦しい想いをするのが嫌で
結局今、私は天を傷つけてる。
『私、未来を知ってたの。』
天が明らかに目を丸くして固まる。
構わずに続けた。
『天と距離置く理由は、自分で忘れるわけにいかなくて、スケジュール帳に簡単にメモしてて･･･』
「ちょ、ちょっと待って･･･」
天が左手の平を私に向ける。
右手で眉間を押さえていた。
初めて見た。
ここまで戸惑ってる天。
戸惑って当然だろうけど。
やがて両手を下げた天が私に向き直って深呼吸をした。
「占い？それともいつもの“何となく”？」
『前世の記憶。･･･って言っても今の私には残ってないけど、天に距離置こうって言った時は記憶が残ってたよ。』
向き合って見つめ合う。
見つめ合うって言っても、漂うのは甘いものじゃなくて緊張感。
私は真面目に話してるし、天はきっと信じる信じないは別として、理解してくれるだろうと思うから目をそらさなかった。
天がため息をはいた。
「つまり、こう？前世での体験じゃ、Aさんはボクと付き合っていなくて･･･」
『そもそも私が存在してなくて･･･』
「意味分からないんだけど。」
一から説明しようとした時、寝室のドアが開いた。
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作者名：miz | 作成日時：2020年12月22日 9時
