230 （九条さんの話） 〜天side〜 ページ32
Aさんと2人で話すからと、百さんと千さんには防音室に入って貰った。
全員でここに入ってるのが誰かに見られていたとして、百さんと千さんに出かけられたらAさんとボクだけが残ることもバレるのは避けたいからだ。
「そんなこと言ってイチャイチャするつもりでしょ！？」
って明らかに冗談って分かるような物言いと笑顔の百さんに、Aさんが“しないわ！”とツッコむものの、千さんが口を開く。
「だってここ防音室でしょ。そっちの音聞こえないから分からないじゃない？」
本気か冗談かわからないその表情に折れ、仕方なく、仕方なく、Aさんの寝室に2人を放り込む。
漫才してる時間ないんだけど。
まあ聞き耳たてられても問題ない内容だろうからいいか(ボクの彼女の寝室にいるってのは本当は嫌だけど)。
最初に聞いたのは、九条さんがAさんに言った話だった。
『MOP後の打ち上げの時、気まずい感じになったの覚えてる？』
「うん。」
『それより後、番組終了後にメイク落とししてから、九条が楽屋に来て･･･』
Aさんは、思い出すようにゆっくり話を始めた。
〜Asaid〜
私と九条の間に千が立ち塞がる。
千が九条を睨んでるだろうことは明らかに分かった。
「言っただろう。Aに話があるんだ。･･･A、天と付き合っているんだと聞いたよ。」
『え･･･』
驚きで頭が一瞬真っ白になった。
九条にはそれが、言い訳や否定を考えているように見えたのか、フッと口角をあげて口を開く。
「ああ、天にも確認したから誤魔化そうとしても無駄だよ。単刀直入に言う。天と別れてくれ。」
「これは、天くんとAが決めた事だ。養父なら見守るべきだろう。」
「千、君には関係ない。口出ししないでもらおう。･･･A。天の初恋が君なのは知ってる。だけど天は僕の息子だ。君たちが付き合うことは認められない。」
･･･私が天と両思いだと自分で知って、でも付き合わないとお互いに決めれたのは、天がどれだけファンを大事にしているのかを知ってるからだ。
天が、付き合おうと言ってくれて頷いたのは、天のファンに対する想いで、与えるだけでなく、ファンも強いんだと言うことを覚えたからだと知ってるからだ。
お互いに、付き合うリスクは分かってる。
ファンだけじゃなくて。
でも、それを問われるのは、きっと私だけだって事も。
九条はそれを言いたいんだろう。
そう思った。
『アイドルだからですか？未成年だから？』
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作者名：miz | 作成日時：2020年12月22日 9時
