227 〜天side〜 ページ29
『カオルちゃんから明日休みって聞いたから、今日、話すつもりだったんだけど･･･』
少し気まずそうに口を開くAさん。
そういえば、仕事のついでとか、とも言ってたっけ。
今日は仕事じゃないけど。
ていうか姉鷺さん？
「どうしてボクにスケジュール聞かないの。」
『それは･･･距離、置いてるから･･･』
変なとこ律儀。
「別にボクが言い出した訳じゃないのに。」
『いやでも･･･』
まあでも話してくれるんだ。
やっと少しホッとして、胸をなで下ろした。
「いいよ。なら本当は小鳥遊事務所さんの一室借りて2人で話したい所だけど、ご迷惑になるから、百さんも時間作れるって言ってくれてる事だし、2人きりにならないように話せる所行こう。」
『あ、じゃあ百呼んでくる。』
Aさんが、百さんと千さんがいる所へ足を向ける。
ボクは、楽と龍の方に向かった。
「楽、龍。先帰ってて。Aさんと話してくる。」
龍「大丈夫？すぐ暗くなるよ？」
楽「どこで話すんだ？近くで待っててもいいぞ。」
「話が長くなるかも知れないから先帰ってて。あまり遅くなるようなら、百さんの家に泊まってく。」
多分百さんなら、よっぽどのことがない限りOKしてくれるはず。
龍「百さん？百さんとも話すの？」
「違うよ。Aさんと2人きりだとバレた時の状況証拠になりかねないから、念のため近くにいてもらうだけ。ヤスさんの引退の話ならともかく、距離を置くって言ったAさんの言葉については、2人の問題でしょ。」
明日の夕飯までには帰るようにすると言ってからAさんの方に足を向ける。
全員の帰り支度が終わりそうになった時、百さんがボクの方へ来た。
「天、ユキも行きたいんだって。いい？」
「え･･･遊びじゃないんですけど･･･」
放っておくと、隣で夫婦漫才とかしそうなんだけど。
いやさすがに空気読める人だからないかもしれないけど･･･
「大丈夫大丈夫！遅くなったら一緒にユキんち泊まろ？」
「お2人の間に入るのは、とってもいたたまれません。」
「じゃあAの家にお泊まりしちゃう？」
百さんは笑顔で楽しそうに言う。
意味を分かっているだろうに、分かってて言ってる感がないから怖い。
ボクはどっちなら耐えられるんだろう。
真面目に考えてしまった。
「千さんの所に行きます。」
「オッケー。じゃあAんちへレッツ･･･」
百さんがボクの手を引いた時、陸の声が聞こえた。
「天にぃ、お姉ちゃんちに行くの？今から？」
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作者名：miz | 作成日時：2020年12月22日 9時
