笑顔のキミが好き【if･･･九条天】 5 （完結） (ページ19)

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喧嘩しても
何に納得が行かなくても

顔を合わせて話し合おう。

ずっとAさんは忙しそうだから、時間がなくて電話だったんだろうけど
電話じゃなくて顔を合わせてなら、喧嘩しても、思ってることは電話よりも伝わると思うから。

期間も話すとか言ってたし、最後までキチンと話そう。

大阪土産っぽくはないけど、このまま終わりたくはないしすれ違うのも嫌だから、仲直りのつもりで。

ネイルシールとネイルチップを手にとる。

楽と龍はお互いを見合ってから、店に入っていく天の姿を、ホッとした様な優しい笑顔で見ていた。

・

都内に帰ってきてもすぐに地方へ行く。
龍は百さんと会ってお土産を渡せたらしいけど、ボクはAさんと会えていない。

と、いうか。

新幹線に乗る前に目について買った雑誌を、座席で見てるとため息が出そうになった。
大神さんとAさんが、2人で居酒屋から出てきた写真が載っていたからだ。

何故かAさんの顔がモザイクされてる上にアップ画は見切れているけど。
しかもAさんの名前はどこにも載ってない。

何これ。
名前が乗ってないからって、わかる人はわかるでしょ。

何で撮られてるの。
こんな場面撮られるなんて警戒心がなさすぎなんじゃないの。

プロとしてどうなの。

イライラして、グシャッと雑誌を握りしめた。

「おまえ、こんなグシャグシャにしたら次読みにくいだろ。」
「別に。もういらないし。」

ポイッと隣に座っている楽に雑誌をやる。
訝しげに雑誌を見た楽が、例のページで目を見開いているのを目の端で捉えた。

すぐに呆れたような目をボクによこす。

「なんだ。妬いてんのか。」
「違う。プロ意識がないから怒ってるの。」

「素直じゃねえな。気になるなら聞けばいいじゃねえか。」
「うるさい。彼女がいたこともないのに適当なこと言わないで。」
「おま･･･っ」
「楽、新幹線の中だから声は抑えよう。天。天が放っておいて欲しいと思ってる事もわかるけど、俺たちは心配してるよ。Aちゃんとずっと会えてなくて寂しい？」

楽の向こう隣に座っている龍が、いつものように、楽やボクの立場に立ってくれる物言いをしてくれる。

でも

ちがう。

「･･･別に、会えないのが寂しいんじゃない。」

「素直になれよ。」

「素直だよ。･･･ボクはAさんに、距離を置こうって言われたんだ。仕事以外で連絡取らないって。」
「「「えっ？」」」

姉鷺さんまでも驚いてる。

思わず自嘲した。