笑顔のキミが好き【if･･･九条天】 5 （完結） (ページ14)

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楽が差し出したボクの電話の振動が止まる。
そして再び鳴りだした。

出れない。
ボクは九条さんを傷つけている自覚はある。
Aさんと付き合ってることを知ったファンは、傷つくだろうと思うから。

でも、分かってくれるファンもいると思って、Aさんの気持ちも大事にしたくて、付き合い始めた。

そういう想いが、力になることも知っているから。
誰かに取られる前に、どうしてもボクが幸せにしたいと思ったから。

だけどーー

そう言って納得する九条さんじゃない。

それにこれ以上傷つけるのも嫌だ。
千さんをスカウトした時も、Aさんがいたから失敗した部分もあるって言ってたし。
ボクまでそう思わせてしまったら･･･

楽と話してから電話に出る。
九条さんと話をするも、Aさんのことは折り合いがつかなかった。

この数日後、この行動を後悔することになった。

～Aside～

『あ”ー･･･』

テレビ局の楽屋。
Re:valeの番組終わりに、着替えてから百と千の楽屋に来た。
メイクを落として帰るため。

テーブルに片頬をつけて･･･へこんでる私。

「何、そのオジサンみたいな声。」
「ユキ、放っといてやんなって。天と喧嘩しちゃって気まずいからへこんでんだって。かわいーね。」

百が相変わらず、恥ずかしくなることを笑顔で言う。

「謝ってないの？」
『謝った。』
「なら大丈夫でしょ。」

千が励まそうとしてくれる。
でも･･･

『あれから一回も連絡ないんだよ？』
「ありゃー、ちょっと心配だね？」
「元々天くんってマメなの？」
「『そうでもない。』」

千の問いに何故か、百と同時に答えた。

「じゃあ問題ないでしょ。怒ってないよ。」
『いや、あれで意外と執念深い部分もあるから。』

執念深いというよりも、納得いかなかった事は譲らない頑固さというか。
良いとこでもあるんだけど。

息を吐きながらメイク落とし後のケアを始めると、百が自分の口元に手をやってニヤニヤした。

「ふう～ん？“私は知ってる”ってヤツ？」
『他の人も知ってるよ！？』

若干頬に熱が込み上がりそうになってると、コンコンとドアのノックが聞こえた。

「はーい！どうぞー！」

百が返事した後ドアが開く。

【！！】

「失礼するよ。･･･Aに話があるんだ。」

黒の革手袋をした手が、私に差し出される。

「･･･！！九条･･･！！･･････何の用だ。」

千が、九条と私の間に入って、相手を睨みつけたのがわかった。