210 （大きな喧嘩） 〜天side〜 ページ12
ボクは自分のために生きてる部分もちゃんとある。
そう思ってる。
でも
楽の言葉を否定できない自分もいる。
だからといって。
言っちゃいけないこともあるでしょ。
・
「何よ、あんたたち。まだ喧嘩してるの？」
朝、マンションに来た姉鷺さんが、楽とボクを見て言った。
今のところ九条さんから連絡はない。
楽の言葉を本気だと取ってると思うけど。
Aさんに何か言ってないか心配。
龍が困ったように、ボクを窺うような表情で口を開く。
「というか天。Aちゃんとも喧嘩してるって聞いたけど･･･」
「喧嘩じゃない。」
あれは、喧嘩じゃない。
「あれは、Aさんが悪い。」
キッパリ言うと、姉鷺さんも“まあね”と困ったように頷く。
「確かにAは、自分の身の危険省みない所があるわよねえ･･･百と千と一緒にいると、引きずられるのかしら･･･。･･･だからって、あなたたちも引きずられないでよ。全く喧嘩ばかりの所は似ちゃって。」
あっちもこっちも喧嘩ばかりで困っちゃうわとため息をつく姉鷺さん。
別に元からこうだけど。
似てるわけじゃなく。
ボクはMOPの打ち上げを思い出していた。
勝手に九条さんにAさんと付き合ってることをバラした楽への怒りは当然ながら最初に気にしたのは、楽と九条さんが話をした後に、九条さんとAさんが対面したか、だった。
でもこの大勢の場所で、Aさんにそれを聞くのはためらう。
ただ聞くだけなら良い。
でも聞くなら、その理由を問われる。
ボクらが付き合ってることを知ってるのは、楽と龍、百さんと千さん、姉鷺さんと岡崎さん、四葉環だけだから、いくら信用できる人たちとはいえ、下手に他にバレかねないのは避けたい。
ラビチャで聞こうかな、と思ってると、Aさんがボクの隣に座った。
後ろの方で、百さんが何か言ってる。
「いいの？話の途中なんじゃない？」
『いいのいいの。お説教から逃げてきただけだから。』
｢お説教？｣
『ちょっとね。百を助けるために動いたら怒られちゃった。』
あははーと軽く笑うAさん。
一瞬で、ボクらTRIGGERが捕まった時を思い出す。
Aさんに感謝はしてるけど、危ないことしたのは確か。
｢何したの。｣
『えーと･･･』
Aさんはボクと視線を合わそうとしない。
「ボクらを助けようとした時みたいなこと、してないよね。」
『そこまでは･･･』
「何。だったらどこまでしたの。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 237人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miz | 作成日時：2020年12月22日 9時
