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「A、気にすんな。得意不得意あんだからさ。」
『三月くん･･･』
気にしないで食べろって言って、三月くんがおかずをよそってくれる。
優しい。
好き。
『ていうか壮五くんが作ってくれたの、普通に美味しいけど･･･』
いつも作ってくれるって、確か環くんは壮五くんと暮らしてるって聞いたからわかるけど、今回作ってくれたのと違うの？
今回壮五くんが作ったのは、牛肉と山椒と唐辛子使った炒め物。
まあちょっとピリッとするけどそこが美味しい。
私は先輩とは違って、辛いの苦手ちゃうし。
「今日は、みっきーいたから、これで済んでんだって。」
「えぇ！？だいぶ良くなったって言ってくれたじゃないか！」
「そんでも唐辛子使うのだけは辛いんだって！」
確かに調理中、壮五くんが三月くんに、唐辛子も山椒も“それくらいにしとけ”って言われてたな。
それに壮五くんのお皿が、牛肉のやつ(多分)が、更に真っ赤。
みんなが環くんをなだめてる時に、ジッと壮五くんのお皿を見てると、壮五くんが私の視線に気づいた。
「一味増やしてるんです。いりますか？」
壮五くんが、めっちゃ嬉しそうな笑顔で、はい、と一味の缶を渡してくれる。
有名なやつだな。
しっかし、大きすぎない？
「や、やめといたら？Aちゃん。」
缶を手に眺めてる私を、陸くんが心配そうに見る。
三「･･･初心者は少しにしとけよ？」
みんなの視線が何故か私に注目する。
･･･そこまで危険なん？
不安になるわ。
取りあえずひとふり。
ふたふり･･･
「もっと思い切り入れると美味しいよ。」
壮五くんがニコニコして言う。
絶対的に悪意のない笑顔。
でも何か皆の視線で怖くなってきた。
葛藤。
みんなが見守る中、パッパッとふって牛肉をスプーンで一気に口に放り込んだ。
環「ぅわ、一口でいった！怖え･･･」
六「勇者ですね。」
大「まだあれなら許容範囲内かもしれないぞ？」
『･･･うん、まあ、さっきより辛いけど美味し･･････っ』
かっら！！
行儀悪いけど、ご飯を掻き込む。
じわじわ汗が出てくる。
涙も出てくる。
誰がどんな顔をしてるんかわからんけど、取りあえず咀嚼。
「A、牛乳。飲め。」
三月くんが心配そうに眉を下げて持ってきてくれる。
コクコク頷きながらコップを受け取って、口の中がなくなると同時に一気に飲んだ。
「ヨ、ヨーグルトも辛味が和らぐよ？」
「王様プリン一個ならやる。」
陸くんも環くんも心配そうに言ってくれた。
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作者名：miz | 作成日時：2020年11月19日 8時
