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『私はなくても、私の周りにいる人達から見ても、ええ人やで。大家さんもな。』
別にかまへん。いつもの事やし。
離れたら寂しくなったり素直になったりすんのに、何で近くにいたら小言が多くなんねん。
もう、うるさいわ。
ちょっと･･･いや、結構イライラしながら、それでも鍋うどんを口に運ぶ。
おばあちゃんの箸が止まってるのに気づいて、自分も箸を止めた。
「･･･ごめんなあ。たっくんに気持ちないのに、結婚したらそういうもんやって言って。」
『･･･おばあちゃん･･･』
おばあちゃんが今にも泣きそうで、顔をゆがめてる。
箸を置いて、私が座ってる横に来た。
「堪忍な。Aの気持ち考えへんかった。･･･たっくんのこと、よう知っとるし、２人共えろう仲良かったから、離れたんはただのすれ違いやって思ってん。」
おばあちゃんが、じわぁって涙を浮かべる。
つられて私まで涙出そうや。
『ええよ。おばあちゃんは、たっくんのこと気に入ってたし。やから、たっくんと離れた理由を、おばあちゃんに言えんかった自分も悪いねん。言ってもわかってもらえへんって、思いこんでた。』
「え？･･･他に理由あるん？」
おばあちゃんの涙は引っ込んで、私を驚いたように見る。
おばあちゃんを席に戻して食事を再開させながら、たっくんと、あった出来事を話した。
食べてる最中と、片付けしてる最中に話して、芸能人関係の話は伏せて、お茶を飲みながら話し終える。
「あんた何でそれを早く言わへんの！」
･･･めっちゃ怒られた。
「そんなんやったら、Aが来ること言わんかったのに。」
『でもそんで良かったのかも知れんよ？夜の外で会った時、それがあったから多分早く身を引いてくれたと思うし、決着つけられるチャンスが出来たんやと思う。それがなかったら、ずっと怖い目に合うかも知れへんし。』
「Aを守ってくれはったお友達は大丈夫やったん？」
おばあちゃんが心配そうに聞いてきた。
十さんの事や。
『うん。･･･おばあちゃん。怒らんで聞いてほしいねんけど･･･』
「何や？」
『守ってくれた人、□先輩の友達やねん。』
キュッと、おばあちゃんの表情が一瞬で厳しくなった。
『おばあちゃんが芸能人嫌いなんはわかる。でも先輩は黙ってはったけど、ええ人なんは、おばあちゃんやってわかってるやろ？守ってくれた人も、めっちゃええ人やし、芸能人って目やなくて、１人１人として見れへんかな？』
そう言って一呼吸置いた。
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作者名：miz | 作成日時：2020年11月19日 8時
