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「聞かなかった事にしてもらわないと、□に怒られるかしら･･･。･･･いや、百くんならわかってくれるかな･･･うーん･･･」
おばさん、考えがダダ漏れやけど？
ていうか百さん、当然のように会ったことあるやんな。
先輩と婚約してるんやし。
『聞いたら良くないなら忘れますよ？』
「ぅわー、いい子！他言しないなら言ってもいいんだけどね。業界には知ってる人も結構いるみたいだし。」
そうなんだ？
とか思いながらお茶を一口飲んでいると、おばさんが思ってもないことを口にした。
「去年までRe:valeのメンバーだったヤスってね、□のことなのよ。」
『！？･･････っ！？！？･･･っゴホ･･･っ』
気管にお茶が入った。
脳が色々衝撃的すぎて処理できていない。
体のパニックを治すのが先か。
今聞いた事を理解するのが先か。
『･･･っゴホ･･･ゴホ･･･』
涙目で喉を押さえていると、おばさんが背中をさすって、ごめんねビックリしたよねと申し訳なさそうに言った。
「初めは、反対しようって思ってたのよ。でも岡崎さん･･･Re:valeのマネージャーさんがね、□のやりたいことをさせてあげたいって気持ちと、□を守る手段としてって説得されて、ああ、大事にしてくれてるからなんだってわかって、ヤスとしても働くって事を認めたの。」
多少咳をしながら、愛おしそうな目をするおばさんの話を聞く。
「百くんと千くんが考えてくれたのよ。ヤスとしての終わりまでしっかり考えてくれて、あの子は本当に幸せね。」
私の頭には、今まで不思議に思ってた事が、次々と思い起こされては消える。
前の３人目の女の人はどんな人だろうと思って、それでも一回も会った事がない不自然さ。
呼ばれた忘年会で、ヤスさんは？と聞くと、大神さんが“知らないの？”って聞いてきた事。
三月くんが見せてくれたテレビ番組で、“トークだけが違う、同じものを見せられた気分”って思った理由。
“戻す”
そういう意味もあったのか。
何故だか、すんなり納得してしまった。
先輩の異常なまでのコンプレックス。
自分を守るための壁。
それを思えば、先輩がヤスさんだと言われて、騙してたなんて言えない。
･･･世間はそういう訳にいかないから、言えないだろうけど。
『･･･大丈夫です。言いません。』
「ありがとう。」
おばさんは優しい笑顔を見せてくれた。
一応、IDOLiSH7とTRIGGER関係の人がそれを知ってるという事は確認しておいた。
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作者名：miz | 作成日時：2020年11月19日 8時
