163 （決着と真実） ページ13
「･･･誰？□先輩のお母さんと･･･」
たっくんの訝しげな雰囲気に、玄関に目をやる。
先輩のお母さん。
あと･･････
え！？
『なんでここにおるんですか！？』
私の叫び声に、たっくんは耳を押さえ、訪問者の１人は私を見ると、笑顔で手を挙げた。
「や。」
開いた口が塞がらない。
目も見開きすぎて乾燥するかも知れん。
先輩のお母さんと一緒にいたのは、店長だった。
「すぐおいとまします。私、車に人を待たせていまして。」
先輩のお母さんが言う。
「じゃあ車にいるお連れ様も一緒にお茶でも･･･」
と、たっくんのお母さん。
「いえいえ。他に２人も車にいるので、この方だけお邪魔させていただけますか。それに直ぐお話終わるかと思いますので、私も車で待たせて貰いますね。」
先輩のお母さんは笑顔だけど、有無を言わせない圧力みたいなのを感じる。
ミニバンの車がチラッと見えるも、遠い上にプライバシーガラスで誰が乗ってるかまでは分からない。
「･･･どなた？」
おばあちゃんが私の背後に立つ。
たっくんのお母さんが、戸惑ったような表情のまま店長にスリッパを勧めるのを見ながら、ポツリと、私の職場の店長だと答えた。
・
「初めまして、おばあ様。Aさんの職場の店長をしています、甲斐
『店長そんな名前だったんですか･･･』
「俺の苗字くらい興味持ってて欲しかったね、俺としては。」
『苗字すらわかってないって何でバレてるんですか･･･』
「俺、自己紹介で店長としか言ってないしAから聞かれてないから。」
軽く話しながら全員で座る。
たっくんの視線が痛い。
それなのに店長は気にした風もなく、素知らぬ顔をしてる。
さすが。
じゃなくて！
「何でここにおるんですか。違和感半端ないんですけど。」
「それがね･･･」
たっくんのお母さんが口を開こうとすると、おばあちゃんがポツリと呟くように言った。
「かい･･･って･･･甲乙の甲と･･･」
「はい。その甲斐です。」
店長が頷くと、急におばあちゃんが立ち上がる。
「･･･っ、何しに来たん！？しかもAに近づいて･･･っ」
「まあまあ、普通に面接来て会っただけですし。」
店長がなだめるように、おばあちゃんに手の平を向ける。
『おばあちゃん、店長のこと知ってんの？』
いやでも。
名前聞くまで大人しかったけど。
「その話は後で。」
店長はそう言うと、ポケットから白い封筒を出した。
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作者名：miz | 作成日時：2020年11月19日 8時
