【アイナナ】この道の先に。4 (ページ2)

今日:14 hit、昨日:28 hit、合計:45,850 hit

152 ページ2

あ、先輩の実家に行けばいいって言ってたっけ。

深呼吸を繰り返し、いざ･･･！！

ピンポーン･･･

『･･････。』

少し待っても何も起こらず、しーんとしてる。

あれ？寝てるんか？

ピンポンピンポン押してても、やっぱり返事はない。

軽くゼハゼハしてると、後ろから聞き慣れた声がした。

「ああ、いた。Aちゃん。」
『へ？』

振り返ると、ニコニコとした笑顔の、先輩のお母さんが立っていた。

・

「どうぞ。」
『あ、いただきます。』

先輩のお母さん･･･おばさん･･･は、さっき買い物から帰ってきた所らしく、私にお茶とお菓子を出すと、慌ただしくエコバッグの中身を冷蔵庫に入れにキッチンへ戻っていった。

帰って早々、先輩から“Aがそっちに行くから”と、時間まで表記された連絡があって、慌てて買い物したのを放って迎えに来てくれたらしい。

「さっき買い物先で、おばあさんを見かけたのよ。バスと歩きで帰ってくるだろうから、ゆっくりしてって。」

『･･･まさか、送りますよとか言って車に乗るのを勧めたのに、おばあちゃん、断ったとかじゃないですよね？』

私がこっちに住んでた時は、おばさんとおばあちゃんが一緒に帰ってくる事もあったから、一緒に帰ってこない方が私としては変な感じやけど。
でも先輩が芸能人って知っちゃったしなあ。

私の言葉に、おばさんは苦笑した。

「やー、いっそ清々しいわよね。徹底しててすばらしいと思う。」

あああああ･･･

『･･･済みません･･･』
「あら、Aちゃんが謝ることないのよ？･･･まあ、おばあさんの思うこともわからなくもないし。理由はどうあれ、黙ってたのは本当だから。」

おばさんは眉を下げて、困ったように笑う。
それから冷蔵庫を閉めてから、エコバッグを折り畳みながら私の方へ来た。

「まー、公式的にRe:valeとして出ちゃったら、本来の顔で露出増えるから、芸能人ってばれない方がおかしいわよね。」

そう言いながら私の横のソファに座ってお茶を飲むおばさん。

私もそれに倣って、お茶が入ったカップをーー･･･
･･･カップを取ろうとした手が止まった。

『･･･本来の顔･･･？』

公式的にRe:valeは何となくわかる。
昔、Re:valeだったって聞いたし。

「え？メイクで別人のような顔で頑張ってたじゃない。･･････あれ？･･･知らない？」

明らかにおばさんは、しまったと言うような表情に見えるんやけど。

ていうか別人のような顔って何やねん。