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「Aの好きなタイプって、声以外の条件あるの?」
興味津々の顔してそうだと思った瑠璃の顔は、口端にキュッと力が入っている。
驚いて目を見開いた。
あれ?もしかして緊張してる?
踏み入っていいのかわかんなかったとか?
そういや恋バナってあまりしてこなかったな。
あんなにお祭りの時ニヤニヤしてたのに。
自然と口が弧を描く。
フッと笑みが漏れると、瑠璃が慌てたような表情をした。
「何で笑うの」
『ふふ、なんで緊張してるの?』
「だってA、お祭りの時聞いたら困ったような顔してたし、深く聞いたら駄目なのかなって思ってたんだもん」
ちょっと口を尖らせる瑠璃。
思わず自分の頬に手をやった。
『え?ほんと?顔に出てた?』
「出てた。誰だってさー、触られたくない事の1、2個あるじゃん。Aはその人の事なのかもしれないし。あ、でも好きなタイプ聞くなら少しは良いかと思って」
だから聞いてみたの、と気まずそうに瑠璃が笑う。
その想いにじんわりと胸に温かさが広がる。
何だか自分の恋バナは苦手なはずなのに、瑠璃になら普通に話せる気がして微笑みが漏れた。
『声に好みはあるけど、好きなタイプでは必須じゃないよ』
「えっ?そうなの?」
想像通りの瑠璃の反応に苦笑する。
頷いてから再び口を開いた。
『優しくて、でも独占欲みせてくれる人がいいかな』
「へえ、独占欲!強いとそれは束縛されそうで嫌じゃない?」
『適度がいいけど難しいよね〜。アニメみたいには上手くいかないわ。瑠璃の好みのタイプは?』
私だけ話して瑠璃が話さないという事は当然させない。
ニヤリとするも、瑠璃は照れた様子でコソッと耳打ちしてきた。
「あのね、実はーー」
瑠璃の口から、好きな人の名前を聞いて、目を見開いたと同時にドアがノックされる。
お待たせ〜!と言って百瀬くんが笑顔で勉強道具を持ってきた。
仕方なく会話を終えたものの、もっと恋バナ話したかったねと、瑠璃とお互いに見合って声もなく笑い合った。
百瀬くんはキョトンとして首を傾げていた。
・
プール日和。
泳げなくたって水着くらい持ってる。
屋内も屋外もプールがある所で、しかもプールの種類が多いからか人が多い。
営業時間に合わせて瑠璃と友達と4人で一緒に来たのは正解だった。
目の前にはお子様プール。
「これならAも入れるでしょ?」
『え?ちょっと酷くない?』
妹もいないのに、お子様プール入ろって?
いや妹でさえ入んないわ。
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ミズ ミズ(プロフ) - KUROさん» コメント励みになります!ある程度の流れは決まっているのですが、セリフや行動にすると自分の他作を彷彿とさせないのが難しく更新が遅くなってしまってごめんなさい(_ _;)頑張ります!読んでいただいてありがとうございます! (2021年11月23日 0時) (レス) id: 7a55b8132b (このIDを非表示/違反報告)
KURO(プロフ) - 本当に読んでいて楽しくなれる作品だと思います!更新待ってます! (2021年11月22日 21時) (レス) id: e464551ebb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miz | 作成日時:2021年11月11日 13時