1 （高校２年生 転入） ページ2
ガヤガヤと騒がしい声が、あちこちの教室から聞こえてくる学校の廊下。
友達があちこちで出来上がってるゴールデンウィーク明け。
って言っても高2だから、時期関係なく友達グループってあちこちに出来てて入りづらそうだけど。
でもさ
本当はさ
高校入る前に引っ越ししたかった。
『･･･酷いわ･･･こんな時期に転入って･･･』
溜息をついて、これから自分のクラスになるであろう教室を見上げた。
「それでも転入出来たAが凄いと思うぞ、先生は」
『･･･さいですか･･･』
高校生が一人暮らし出来るほど裕福な家庭ではない。
お父さんだけが引っ越せばいいとも、チラッと言ったけど却下された。
東京、大阪、神奈川、愛知、京都と引っ越してきた転勤族のうちには、引っ越し以外の選択肢は用意されてなかった。
京都では、6年引っ越しはなさそうって言われて公立の中高一貫通ってたのに。
“頭良いから、どこでも受かるわよ”
なんて、お母さんってば超適当。
「なんか困ったことがあれば言えよー？イジメとかはないと思うけど」
すごい自信。
確かにいじめとかに対するケアがキチンと準備されてるとか、テスト結果の順位を貼り出さないとか色々しっかりしてる所らしいってお母さんが力説してたから、それがこの学校の強味なんだろう。
平和でいいこった。
『そうします』
私が頷いた所で先生がクラスの扉を開けた。
バタバタと自分の席に着く子がチラホラ。
他はちゃんと座ってる。
全員が席に着くまでに先生は黒板に私の名前を書いた。
「噂の転入生だ。自己紹介して」
噂？
『えと、AAです。よろしくお願いします』
しーん･･･
まあ、ですよね。
小学校低学年の頃はみんな物珍しそうに沸いてたし休み時間になると質問責めされたりしてたけど、高学年からはみんな落ち着いてたっけ。
「･･･終わり？」
『終わりです』
「面白いこと言わないの？」
『関西に住んでたからと言って、面白いこと言えるわけじゃないので』
ケロッとした表情で淡々と言うと、少しクラスがガヤガヤする。
何を言われてるんだろう私。
冷たかった？
いやあ、だって面白い事って難しいよね。
別に面白い人間じゃないし。
自己紹介として言いたくない事はあるけど。
先生に席を教えられて座る。
廊下側の端っこの一番後ろ。
隣の席の女の子が笑顔で私を見た。
「春原瑠璃。よろしくね」
『あ、よろしく』
それが、瑠璃との出会いだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 242人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミズ ミズ(プロフ) - KUROさん» コメント励みになります！ある程度の流れは決まっているのですが、セリフや行動にすると自分の他作を彷彿とさせないのが難しく更新が遅くなってしまってごめんなさい(_ _;)頑張ります！読んでいただいてありがとうございます！ (2021年11月23日 0時) (
レス) id: 7a55b8132b (このIDを非表示/違反報告)
KURO(プロフ) - 本当に読んでいて楽しくなれる作品だと思います！更新待ってます！ (2021年11月22日 21時) (レス) id: e464551ebb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miz | 作成日時：2021年11月11日 13時
