【アイナナ】この道の先に。 2 (ページ8)

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「マネージャーが忙しいらしくて。ゲストの送り迎えと説明だけしてくれるらしいよ。」
「誰が来るんですか。」

「監督と･･･あともう１人。当日でも秘密になってるんだよね。あ、ゲストの補佐は、Aちゃんと、店長か私だから。よろしくね。」

『あ、はい。』

届いたお花を飾ったりしてると、男性店員が言った。

「ここなの声優さんが来ないかどうかも分からないんですか？」

「本当はここなの声優さんの予定だったみたいだけど、日本と海外行き来してるらしくて都合があわなかったから、急遽ゲスト変更したんだって。」

へえ。
ここなの声優さん、売れっ子なんだ。

そんな話をしていると、副店長のスマホが鳴る。
店長からで、ゲストと話が終わったらしい。

みんなに緊張が走ったのが分かった。

かくいう私も、ちょっと緊張。

その時ドアが開いて、店長が顔をのぞかせた。

「待合室に通して今日の進行聞いたから、今から言うよ。」

慌ててメモ帳とペンを持って、店長の話をメモる。
質問は？と聞かれたけど、全て分かりやすく説明してくれたから問題はなかった。

待合室に行って挨拶しようという事になって、店長と副店長と待合室へ行く。
店長がノックして、挨拶しながらドアを開けた。

【わ･･･！三月くん！】

何となく可能性としてありそうかとも思ってたけど、そこには三月くんがいた。

あああああ･･･三月くん、めっちゃポカンとしてる。
なんでいるんだ的な。

聞いてないよって？
私だって今知ったよ！？
例えとか思ってたけど！

「･･･A。」

仕事だからとか思ってたのに！
あの時の私、どこ行ってん！

てか、ヤバい！
めっちゃテンパる！！

「･･･A。」

店長に腕を揺すられてハッとする。

「自己紹介。」
『あ、ああ、済みません！AAです。本日はお願いします！』

言ってお辞儀をした。

「あはは。三月くんのファンなのかな？緊張しなくて良いよ。」

三月くんの隣に座ってる人が笑って言ったけど、その隣に立っていた人が眼鏡をあげて口を開く。

「困りますよ。ファンじゃない人を、とお願いしたじゃないですか。」

店長が申し訳なさそうな顔をした。

「申し訳ありません。本当に芸能界に興味ない子なんです。ただこういうイベントが初めてで、緊張してるんだと思います。」

ああ、店長ごめんなさい。
謝らせちゃった。

確かに緊張してたんだけど、それはイベントに対してではなく。
三月くん見て、テンパっちゃったから。