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嘘だ。
と思った。
【･･･でも･･･】
もし何かあったら、私のせいにしないために黙ってるだろうなって思っていたから。
それを確かめられただけで充分だ。
『そっか。なら良かった。』
言葉通り受け取った体を装うように笑った。
２人で三月くんの誕生日会場へ戻る。
確証はない。
けど、多分、何かあったんだと思う。
でももし、先輩が私のために黙ってるのなら･･･
『先輩。』
「ん？」
『何かあったら、私には何も出来ないかもしれないけど、話を聞くこと位出来るから言ってね。』
先輩は目を見開いて、でもすぐに嬉しそうに目を細めて、ありがとうと言って笑った。
でも、気になるのは気になる。
『･･･先輩に何かありました？』
「え？何？急に。」
若干引いているのか困ったような顔で私を見る千さん。
百さんがいないなら、この人に聞くのが良いと思った。
千さんは表裏はなさそうだから、何かあれば聞いたら言ってくれそうな気がする。
性格的な意外性はあるけど。
「･･･何かって？」
『先輩が傷つくような何かです。』
即答すると、千さんの眉間にしわが寄った。
「そういうのに思い当たる物があるのか？」
なんか、ちょびっと怖い。
でも千さんの表情に、何かを隠している部分を見つけられない。
じゃあ先輩の言葉を嘘だと思ったのは気のせいなのかな。
考えすぎ？
私が気にしすぎてるだけ？
でも千さんの反応からすると何もなさそう。
『あ、私の元カレの事情で。何もないなら良いで･･･』
「待って。」
じゃ、と手を挙げて去ろうとしたのに、首根っこを掴まれてグエッとなる。
「□の様子が変だとは思ったことないけど、モモならあるかも。」
『･･･え？百さん？』
なぜ百さん？
たっくんとは関係ないでしょ？
「･･･三月くんへのプレゼント？」
『え？』
何故急に話が変わったのか分からずに、ポカンと千さんを見る。
私の手元の小さな紙袋を指さされて、苦笑いして頷いた。
「渡して来たら？そしてモモが来たら捕まえて問い詰めよう。」
やっぱりなんか怖い。
『問い詰めるまでは･･･』
「どうして。気になるなら聞くべきでしょう。」
『千さんって、いつもそうですか？』
「そうって？」
『キッパリハッキリしてる感じ。』
千さんが目を丸くして私を見る。
と思ったら考えるように、顎に手の甲を当てた。
自覚ないのかしら？
私にはそう見えるんだけど。
「･･･時と場合によるかな。」
『時と場合･･･』
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作者名：miz | 作成日時：2020年6月5日 0時
