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『楽屋訪問とかするのかと思ってた。』
会場を出てからそう言うと、天くんが目を見開いた。
「よく知ってますね。テレビやアイドルに興味ないって聞いてましたけど。」
『ゲームであるよ。先輩が好きなゲームのストーリーとかで。』
「「ああ･･･」」
天くんと、何故か二階堂さんまで、遠い目をしている気がする。
知ってるのかな。
「今回は、□が出るかどうか極秘だったから、ライブ前に行っても□には会えなかったと思うんだよな。そしたらA、つまんないだろ？」
三月くんが言って笑う。
･･･私のこと考えてくれたんだ。
「あと打ち上げもあるだろうけど、今日はさすがにRe:valeだけがいいだろ。折角の再出発の記念なんだしさ。」
『うん。そうだね。』
少しずつ遠ざかっていくライブ会場を振り返ってから、みんなの背中を追いかけた。
次の日のラビチャニュースのトップは、□先輩の記事だった。
世の中平和。
なのに、私の心はブルー。
『はああ･･･』
「その顔で店は出るなよ。」
開店作業の品出しの時、本社から来たFAX数枚で、私の頭をポコンと叩きながら店長が言った。
「何。あれから会っちゃったの？」
『誰とですか。』
「誰とって･･･元カレちゃん。」
ああ、その問題もあった。
・
昨日のライブの帰り、電源オフにしていたスマホをオンにすると、おばあちゃんから着信が来ていた。
アパートまで送ってくれた大神さんにお礼を言って、部屋に入ってから電話すると、先輩と連絡取れてないって言ってたけど今もそうなのか聞かれた。
『その事なんだけど、ちょっと、たっくんの事も話したいんだけど。』
･･･「ああ、たっくんと仲直りしたん？」
『仲直りちゃうくて、実は･･･』
先輩に話したことと同じ事を話す。
おばあちゃんは黙って聞いてくれた後、言った。
･･･「なんや。凄い愛されてるんやから、嫌やなんて贅沢やわ。でも、誰かになんかしたなんて聞かへんけどなあ。勘違いちゃう？そのバイトの男の子も大袈裟に言うただけやって。」
いや、勘違いとか大袈裟じゃないと思う。
暴力されたとかは言ってないけど、脅されたんだろうし。
1回や2回ちゃうし。
ヤンデレっぽくて怖い。
『でも、もう好きやとかそういうんちゃうねん。情しかあらへん。』
･･･「そんなん結婚したらそのうち、そうなっていくわ。」
そうなのかもしれんけど、相手の嫌な所も好きな所もなんだかんだ言ったとしても、認められる人が良い。
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作者名：miz | 作成日時：2020年6月5日 0時
