90 （三月くんの誕生日） ページ40
『･･･私も持ちます。他はないですか？』
大皿を受け取った先輩を横で確認しながら、大神さんに手をさしのべた。
ビニール袋を２つ渡される。
「ありがとう。他は俺が持って行くから気にしないで。」
『そっちも持てますよ。多分。』
大神さんの腕にぶら下がってるビニール袋２つを指差しながら言うと、大神さんは優しそうな微笑みを向けてくれた。
「大丈夫。十分助かるよ。」
ドアを開けて、両手がふさがってる先輩が先に出るのを確認してからドアを閉める。
「ごめん、さっき何か聞こうとしてたよね。何？」
『あー･･･後で聞く。』
「そう？」
気になるのは気になるけど、これから三月くんの誕生日のお祝いだから。
それを目一杯お祝いして、帰りにでも話を聞いてもらおう。
でないと三月くんに失礼だし。
『あ、でもさっき、甲斐さんと伊集院さんと会ったけど、タレントさん？事務員さん？』
「ん？ああ！あの人たちはアイドルになる候補生だって。私も会う機会あまりなかったんだけど、IDOLiSH7が元いた寮に住んでる人も今はいるから、たまに会うようになったんだよね。IDOLiSH7の後輩。」
『へえ･･･そういう人もいるんだ･･･』
「うん。つまりアイドルの卵だね。先が楽しみ。」
そう言う先輩は、本当に嬉しそうで、私もつられて笑顔になりながらサプライズ会場のドアを開けた。
・
全「ハッピーバースデー！」
ドアが開いて三月くんが入ってくると同時に、クラッカーのパーンという音とお祝いの言葉を一斉に口にした。
「え･･･っ、え！？仕事じゃなかったのか！？ナギ！」
三月くんがドアを閉じたナギくんを振り返る。
ナギくんは人差し指を口に当ててウインクした。
「サプライズですよ。」
わあ、マンガに出てくる王子様みたい。
って、こんなこと口にするほど現実的じゃないこと位分かってるけど。
みんなにグラスが渡って、三月くんが少し顔を赤くしながら口を開いた。
「こんなにたくさんの人が、オレの誕生日のために来てくれるなんて、すんげえ嬉しい。･･･みんな、ありがとうございます！」
三月くんが全員を見渡す。
バチッと視線があった。
目を丸くした三月くんに、おめでとうと口パクで言うと、三月くんは照れたように、でも物凄く嬉しそうに笑う。
【！！うわ･･･】
今心がキュッてなった。
前ドキッとしたのは、かわええなって思って、凄いなって思って･･･
【･･･じゃあ、今のは？】
何故か高鳴る胸を押さえた。
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作者名：miz | 作成日時：2020年6月5日 0時
