【アイナナ】この道の先に。 2 (ページ22)

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･･･「そんでさ、えと･･･」

？
急に言葉を濁し始めた。

電話だから顔見えないけど、遊園地行った時に、寂しいなら呼んでって私が言ったしな。
格好悪いって三月くんは自分のことを言ってたから、もしかして寂しいのかも知れない。

『どこかで会う？』

ちょうどバレンタインだし、作った次の日からなら平気だな。

･･･「･･･はは、先言われた。オレ空いてる時間がさー･･･」

三月くんの言葉に相づちを打つ。
２日後、居酒屋で食事することになった。

【２日後って･･･】

バレンタイン。
･･･いや、深く考える必要はないよね。

そう思いながらも、部屋の隅に置いた、紙袋に入った箱に視線をやる。

初心者でも簡単に作れるトリュフというのを作るから、箱だけ買っといてって言われて買った。
意外と高いから、可愛いものや高級に見えるような箱が置いてある100均で買ったけど。

寝る準備を終えた時、スマホが鳴った。

先輩だ。

『･･･もしもし？どうしたの？』

･･･「ごめん、夜に。あのさ、明日道具と材料持ってAのとこ行く予定だったんだけど･･･」

やけに落ち込んでるような口調。
急な仕事でも入ったんかな？

･･･「明日迎えに行くから、作るの千の家に変更しても良い？」

【･･･ん？】

千さんの家？

『･･･え？』

なんで？？

先輩が言うには、百さんは袋に用意していた調理器具を多分見ない振りしてくれていたんだけど、千さんが“これ持っていつどこ行くの？”と聞いてきたそう。

「明日、Aのとこ。」
千「あの子、作れるの？」
「教えに行く。私は事務所スタッフ分だけ一緒に作るし。」

「えっ！？オレのは！？」
「僕のも。」
「みんなの分一緒にやると、相当な量になるから別で。」
「明日終わっちゃったら当日じゃん！」

「□の所で出来ないなら、僕の所でやったら？万一失敗しても僕の家なら、あの子の所よりだいぶ融通きくよ。こんな荷物を運ぶこともない。僕らの分作らないなら可能でしょ。」

先輩は、なる程、確かに。と納得したらしい。

･･･「･･･って事なんだよ。」

まあ理由はわかったけど。
納得もするけど。

『百さんたちの分はどうするの？』

･･･「ん？既に作ったよ。百と千にはサプライズみたいになっちゃうけど、まあそれも面白いから内緒で。」

確かに、その会話なかったら“いつ作ったの！？”って喜びもひとしおになりそうな気はするな。