【アイナナ】この道の先に。 2 (ページ3)

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【あ、この手が先輩なんだよね。】

その先の映像を知っているから、ちょっと嬉しくなってしまう。

けど、先輩の手は、光になって消えてしまった。

【え･･･】

「えっ！？ダメだったのか！？」
「OH･･･」
壮「そんな･･･」
「□っち･･･」

「まだ分からないよ。」

ショックを受けていた私の気持ちが、天くんの言葉によって少し浮上する。

“NO DOUBT”の前奏が鳴る。

【うっわ！めっちゃ音でかい！】

ひいぃぃって両耳を塞ぎながら見てると、メインステージの下から、百さんと千さんがゆっくり上がってきた。

【わ･･･凄い･･･】

見たことない雰囲気を纏った百さんと千さん。
ステージ上の２人からは、いつもの明るくて優しげな百さんの影も、笑いの沸点が低くて白目をよく剥いてる千さんの影も見えなかった。

百さんや千さん、見えない先輩を呼ぶ声もしてたけど、いつの間にか自分の両耳から手を外していて、ステージで歌って踊る百さんと千さんに釘付けになっていた。

サビに突入すると、バックバンドにライトが当たる。

バックバンドも凄い。
色んな楽器が･･･

【あれ？演奏してない？】

隣の三月くんに、そういうもんなのかと聞こうとしたけど、邪魔しちゃ悪いしと思いながら三月くんを見ると、三月くんも固まってた。

「おー。発表まだ？間に合った？」

間奏の時に声が聞こえてきて振り返ると、仕事で遅くなった３人がいた。

百さんと千さんが笑顔で客席に向けて挨拶してる隙に、三月くんがグッズを3人に渡す。

『あのバックバンドの人たち演奏してないけど、そういうもんなの？』
「いや･･･」

その後は音が大きくて聞こえない。
それを察したのか、三月くんは大きい声で、パフォーマンスならあり得るけど、と言ってくれた。

視線をステージに戻すと、ステージ全体にライトが当たってる。

【あれ？あの容姿･･･】

『･･･先輩や･･･』

この前会った。
間違えるわけない。

『三月くん！先輩！先輩がいんで！』
「えっ！？」

興奮のあまり三月くんの腕を掴んで、ステージを指差した。

「え？どこ？エレクトーン弾いてんの、髪短いだろ？」
『それが先輩やねんてば！！』
「「え！？」」

私の隣の三月くんと、後ろで座ってステージを見ていた二階堂さんが声をあげた。
他には聞こえてないらしい。

二階堂さんが立って双眼鏡でステージ見てなんか呟いてる。

髪型変わったから分からんって、ステージとの距離が遠いからやなって感心した。