【アイナナ】この道の先に。 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:15 hit、合計:158,975 hit

5 ページ5

ああ、安心する･･･

布団を受け取って運んで、また寝室に戻る。
次は衣装ケースが目に入った。

【ひゃく？･･･せん？】

漢数字で書かれたそれぞれのラベル。

「はい、これで終わり。」
『わ！はい。』

急に手元に重みが来て驚く。
渡された物は、明らかにクッションだった。

｢ごめん。人が使った枕よりは、これがいいと思って。」

ああ、そっか。
気を利かしてくれたんだ。

有り難く受け取って、お風呂先にどうぞって言い合って、眠くなるギリギリまで話した。

付き合って3年だとか、告白は向こうからで、先輩は信じなかったとか。

『先輩、幸せそう･･･』
｢えっ！？｣

真っ赤になって。
かわいいな、この人。

『いっぱい嫌なことあったから、幸せになって欲しいって思ってたから、良かった。』

笑って言うと、先輩は、ありがとうと言って笑ってくれた。

･

キチンとした朝ご飯を食べさせてくれて、その腕に感激して、合鍵受け取って仕事に行く。

いつも通りの日常。
好きなだけ泊まってって言われたけど、いつまでもそういうわけにいかないし。
彼氏が来た日にゃ、居づらいし。

仕事の後、不動産屋に電話して行く旨を伝えて自転車に跨がった。
自転車くらいは駅の駐輪場に置いていたけど、先輩のとこに置くとこあるかな？なんて思いながら不動産屋に着いた。

『こんにちはー。』

担当の人を呼んでもらって、部屋のリストを見せてもらう。

『･･･もう少し安い家賃のないですか？』
「ちょっとここら辺だと厳しいなあ･･･もうちょっと西よりなら安くなるんだけど。」
『ここら辺か、もっと東がいいんですよね･･･』
「東って、都内出ればいいのあるけど。」

西よりは、元彼との同棲してた所だから、近寄りたくない。
離れた所の方が良い。

地元には帰れない。
元彼の地元でもあるから。

落ち着くかどうかわからないけど、落ち着けば帰省位ならいいと思うけど。

【まあ、おばあちゃんが元気だから出来ることやけど、都内から出るなら、地元に帰ってくればって言われそうやな。】

『また来ます･･･すみません･･･』
「いいのあったら、すぐ連絡するね。」

お願いしますと言って不動産屋を出た。

今日は遅くなるから、夕飯は自分でって言ってたなと思い出した。
言っとくけど、１人なのに何か作る気なんて、全くない。
めんどいもん。

どこで食べよう。安いとこ。

自転車のカゴに荷物を入れると、誰かに“すみません”と声をかけられてビクッとした。