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帰り道を歩く。
凄いなと単純に思って、スマホでホームページを表示した。
ダウンロード中・・・
【テレビって、こういう風にも使うんや。】
ただの娯楽だけじゃない。
テレビの向こうの人たちが、一生懸命考えて、想いが伝わればいいなと望んで番組を作ってる部分もあるのかも知れない。
いや、アニメとかゲームを楽しむ側だから、そこまで考えた事はなくて。
でもそういう世界はあって。
でも受け取る側は、それぞれだ。
色んな人がいるから。
私が思うような感じに、誰でも思う訳じゃない。
・・・でも、三月くんも先輩も、そういう世界にいるんだ。
いや、見た感じ、楽しそうだったけど。
だからこそ、作り手も楽しくなきゃ続かないだろう形だとも思うけど。
【そうだよね。】
嫌なことを続けたい人なんていない。
物事を始めるには、単純な興味がないと出来ないし。
先輩はきっと、私のようにもっと世界を広げたいと思ってるかも知れないし。
ラジオでのRe:valeを聴いていれば、百さんや千さんがいつも楽しそうなのも明らかで。
立ち止まってスマホに視線を落とす。
“賛成”をタップした後、ラビチャを三月くんに送る。
A今日は本当にありがとう。テレビ楽しかった!勉強にもなりました。
この後仕事って言ってたから、すぐに既読はつかなくて、鞄の中にしまった。
「あれ?」
大通りに出て、後ろから聞こえた知ってる声にビクッとする。
振り返らずに走った。
「あっ!待っ・・・!」
力の限りダッシュして、適当な曲がり角で曲がる。
あかん。これやったら曲がった早々見つかる。
駅に行きたいけど、絶対に捕まる。
コンビニでやり過ごせればいいけど、最悪見つかったら迷惑がかかる。
もう一回曲がろう。
勢いつけて思い切り曲がると、人にぶつかって跳ね返されて尻餅をついた。
『いった・・・』
「ご、ごめん、大丈・・・あれ?君確か・・・」
私を探す声がして、バッと立ち上がった。
『ご、ごめんなさい!それじゃ・・・』
その人の横を通り過ぎようとすると、待ってと、手首を掴まれて引き寄せられた。
「・・・ごめん。少し我慢してね。」
何故か私は、すっぽりその人の腕の中にいた。
しかもコートで覆ってくれてる。
マスクしてるみたいで、こもってるけど、聞いたことある声だけど・・・誰。
顔を上げてその人を見ようとすると、顔をギュッと胸に押し付けられて顔が上げられない。
「確かこっちの方に・・・」
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作者名:miz | 作成日時:2020年4月15日 21時