【アイナナ】この道の先に。 (ページ14)

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「それにしても、初めて知る芸能人がIDOLiSH7だとはね。」

食後のコーヒーを飲みながら千さんが言う。

『あ、いや、名前だけなら知ってますよ？ラジオは聴くし。トリ･･･トリ･･･なんとかってのと･･･』
百「TRIGGER？」
『あ、それです！おばあちゃんの前ではニュースしか聴かんかったけど、彼と住んでた時は音楽とかも聴いてました。秋くらいから全然音楽流れんようになったけど。あとはRe:vale。』

「へえ。Re:vale。」

先輩の感心する声に頷いた。

『Re:valeは曲の幅が広くて凄いなって思って。』
「ふうん。どの曲が好き？」

千さんが嬉しそうに穏やかに笑う。

Re:vale好きなんかな？

『まだCDになってませんけど、“Re-raise”。ここ３ヶ月位しか知らないんで、アレですけど。ラジオでアルバム曲とかも紹介してて、新曲は来年発売ってポスター･･･が･･･』

あれ？
ポスター、どんなんやった？

百さんと千さんを見る。

さあーっと血の気が引く。

【どっかで見たことあるはずだ･･･】

仕事帰りの時に見たCDショップの店頭。
日にちと曲名は覚えてて、でもCDプレーヤーないなーって思ってた。

『あの･･･すみません･･･わからんくて･･･』

「いいよいいよ！知らない方が、自分を見てくれてる気がすんじゃん！まー表も裏もないけど！」
□「え？ない？」
「えっ！？ないでしょ！？」

百さんと先輩が笑いながら言ってる。
千さんを見ると、目が合って微笑まれた。

確かRe:valeは、もう１人女の人がいたはずだけど。
その人も、こうやって笑ってくれるのかな、と思うと、優しさに心が温かくなった。

お近づきの印と、Re:valeを知ってくれて嬉しいからという理由で、百さんと千さんに奢ってもらって、お礼を言う。

「ここ、一見お断りだから。君のおばあさんがこっちに来た時、連れてきてあげるといいよ。値段設定だけしてお任せにすれば良い。」
『あ、ありがとうございます。』

百さんが、ユキ、イケメン！って言ってる。
どっかで聞いた。
きっとラジオだ。

「ああ、あとコレ。あげる。」

席を立つと、千さんにA4サイズの茶封筒をもらった。

『なんですか？』
「帰って見て！いらなかったら処分して良いから！」

百さんも笑って言った。
なんかよくわかんないけどお礼を言って、先輩と一緒に家に戻る。

「なんだったの？封筒の中身。」

さあ？と言いながら開けると、都内アパートの空き部屋の賃貸情報が２枚入っていた。