【アイナナ】この道の先に。 (ページ10)

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兄さん？
なに？兄弟？
和泉さんの方が年上なの？

【明らかに、和泉さんの方が年下･･･】

チラッと和泉さんを見上げると、パチッと視線がかちあう。
と同時に軽く睨まれた。

「失礼な事考えてないかぁ？」
『いえ全く。』

自覚あるのか。

「和泉一織と申します。よろしくお願いします。」
三「一織はオレの弟な。」
「オレは七瀬陸！おね･･･□さんって変な感じ･･･とは、小学校からの付き合いで･･･」

七瀬陸？
どっかで聞いたことあるな。
どこだろう？

記憶をたどる。

『ああ！七瀬陸！』
「な、何！？」
「Aさん、七瀬さんだけご存知なんですか！？」

七瀬さんがビクッとして、弟さんは前のめり。
私は思わずのけぞった。

『□先輩が入院した先で、仲ようなった子やろ？確か双子の弟･･･』
「そっちですか･･･」

弟くんが、がくーっと肩を落とした。
そこまで落ち込むこと？

対して七瀬さんは、むっちゃ笑顔。

「そうそう！そっか！じゃあAちゃんは、その頃からお姉ちゃんと仲良かったんだ！」

『･･･“ちゃん”って、私の方が年上なはず･･･まあええけど。』
「「「え！？年上！？」」」

私は口を尖らした。

・

【楽しかったなあ･･･】

先輩の部屋でお風呂に入らしてもらう。

もう夜の10時なのに帰って来ない。
本当に遅いな。

先輩の心配をしながら、すぐそこの寮での事を思い出した。

ここ何年も2人とか1人で食事してばっかりだったから、4人なんて久しぶりだった。

2人とも和泉さんだから、名前で呼んでと言われて、三月くんと一織くんと呼ぶと、“七瀬さん”は嫌だと言われて、陸くんと呼ぶことになった。

しかし、三月くんが私と同い年とは驚き。
それに･･･

【芸能人も、いい人いるんだ･･･】

まあ、悪い人ばかりじゃないだろうけど。

「ただいまー。」
『おひゃえりなしゃい。』

歯を磨きながら先輩を迎える。

先輩は笑顔になって、リビングへ行った。
口を濯いで追いかけて、今日のことを話した。

「そうなんだ。みっちゃんのご飯、美味しかったでしょ？」
『みっちゃん･･･？』
「三月くん。」
『ああ。美味しかったけど･･･へえ･･･あだ名で呼ぶくらい仲良いの？』

先輩があだ名で呼ぶ人なんて、そうそういない。
確か、親戚の子くらいだったような？
会ったことないけど。

「まあ、前バイトしてたケーキ屋の子でね。仲良い方だと思うよ。」

先輩、ケーキ屋でバイトしてたんだ。
知らんかった。