【アイナナ】この道の先に。 (ページ47)

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「友達で信用できる人がいないとかそういう事かなって思った。」

だからね、と先輩が笑う。

「暴力振るわれてたとか想像しちゃってた。そうじゃなくて良かった。･･･何かされてる人がいるっていうのは良くないけど、DVとか心配してたから。」
『だ、大丈夫だよ！そこまで酷くないから！』

「うん。でも最悪そういうのも考えて、じゃあ私の近くにいない方が安全だよねって百と千と話してたの。だから急いでアパートを探してくれたんだと思う。」

ああ、道理で。
追い出されるように先輩のとこ出てったもんね。
私からすれば助かったけど。

「紹介したアパート2軒は、百の知り合いがいるし、今Aが住んでるアパートに至っては、百と千のストーカーとかもついてきたから、大家さんが、入居者以外は入るなって追い払ってたし、受け入れてくれるんじゃって思ったんだよ。」

『そうそう。たっくんには申し訳ないけど、大家さんに、別れたのにつきまとわれて困ってるっていうのを言ったら、アパート入居者以外が許可なく入ろうとしたら、自分がいれば追い払うけど、それ以上は何もしないから自分で解決しなさいって言われた。』

それでも十分だ。

もう一つの方は、警察に通報になると言われたから止めた。
恋愛感情はなくても、大事な人で好きだった人だから、そこまでしたくない。

『たっくんと一緒にいるって事は、今では、たっくんのためにも私のためにもならない。･･･多分今度謝られたら私、また許しちゃうかもしれない。それが続くって事は、誰も幸せになれないから。』

情があるから許してしまう。
優しいと知ってるから許してしまう。

私の弱さだ。

「･･･うん。･･･ありがとう。話してくれて。」

先輩を見ると、優しく微笑んでいた。

『･･･先輩も、たっくんを知ってるから、おばあちゃんも、たっくんを信じてるから、たっくんのこと知らない人じゃないと言えなくて。』
「うん。」
『だから地元に帰れないし、仕事しなきゃ生きていけないし。』
「うん。」
『テレビなくても、あちこちで先輩の話が飛びかかってて･･･』
「うん。投票でね。」
『たっくんが気づくだろうと思って、そしたら追いかけられて･･･』
「え！？会ったの！？」

先輩が目を丸くした。
十さんに助けてもらった事を話すと、“さすが龍ちゃん･･･”と苦笑いしてる。

なんで、さすが？

もう先輩のとこ行けないって言うと、先輩が言いにくそうに口を開いた。