【アイナナ】この道の先に。 (ページ3)

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「相変わらず。気持ちが高ぶると関西弁混じるの。京都弁じゃないよね。」
『そら･･･ちょうど大阪京都の境目辺りに住んでたし。』

そう話して歩こうとすると、先輩が足を止めた。

「よう。□じゃねえか。うち来るか？」
『うちって･･･龍ちゃんちでしょ？連れがいるから。』

先輩が、ちょっと待っててと言って、そっちへ行った。

誰だろう。
長身で眼鏡にマスク。
見たことあるような気がする。

･･･いや、見たことあったら絶対覚えてそうなタイプに見えるけど。
それ位イケメンオーラが凄い。
俺様っぽくて苦手なタイプだけど、先輩と仲良さそう。

隣はもっと背が高くて、マスクも帽子もしてて暗くてよく分からない。
あと２人いるけど、先輩の影に隠れてて見えないな。

ジーッと見てると私の視線が気になったのか、イケメンオーラが先輩に、知り合いか？って聞いて、先輩が頷く。

ペコッと頭を自分から下げると、イケメンオーラの人の目が笑って、頭を下げてくれた。

あれ？いい人なのかも知れん。
いや、単純でしょ私。
挨拶くらい常識よ、常識。

先輩がイケメンオーラと他の３人に手を振ってこっちに来る。
残り２人が見えた。

両方ともマスクはしてて、片方は帽子、片方は眼鏡。
眼鏡の人は目が細い。
帽子の人だけ、明らかに背が低い。

私より高そうだけど。

【というか･･･眼鏡の目が細い人、どこかで見たような？】

□先輩と同級生で地元の人とか？同じくらいの年齢に見えるもんね。
あんな人いたっけ？

まあ忘れてる人も多いし、私より先輩だったら分からないしいいか。
声かけられてないって事は、覚えてないか、ただの気のせいか。

「行こう。あと今日の食事代さ。」
『あ、いくら？』
「上京して久しぶりに再会したお祝いって事で。黙って驕られてね。｣

『え。』

笑顔で言われた。
仕方なく折れる。

『じゃあありがたく。ご馳走さまです。』
「いえいえ。どういたしまして。色々お金かかるでしょ？気にしないで。」

『ちなみにいつ払ったの？』
「お手洗い行った時。」

ああ、なるほど。
更に格好良くなっちゃって。この人。

昔からそうだ。
優しくて強い。

「彼がね、よくそうしてくれるんだ。他の周りの人も、さっきの人達もいい人ばかりだよ。だから自分もやりたくなっちゃうんだよね。誰かに返したくなる。」

『彼･･･』

□先輩が笑う。
それはそれは幸せそうに。

【そっか･･･いい人なんだ･･･】