笑顔のキミが好き 【百】 26 （完結）

MVダンスパート（Re-raise） ページ26

「困るな･･･。バラバラに動き出したんじゃ、バラバラに潰されちゃうだけだよ。」

「ツクモの内部の人は？協力してくれそうな人たちを見つけたんだろう？」

千の問いに、百は少し眉をひそめて、二の足を踏んできてることを教えてくれた。

Re:valeが不審を抱かれてるのもあるけど、ZOOLが一番の原因らしい。

ツクモから出たここ十数年で一番のヒットメーカーだから、このままいけば、成功路線が取れて、強力な武器を抱えている安心感がある。
無理して変えなくてもいいと思ってしまうだろう、という事を百が言った。

『IDOLiSH7とも少し関係が良くなったよね。元々繋がりがあちこちであったっていうのもあるけど。』

「そうだねえ･･･。あそこは月雲社長と一心同体なの？気の強そうな若者たちだし、月雲社長と揉めて離反、はありえないかな。」

『揉めるって難しいんじゃないですか？月雲了の圧力の方が大きそう。』

意見を言っても、受け入れないだけじゃなく、上から押しつぶすような人だ。
思い込みで、いっぱいいっぱいなんだろうけど。

「うん。了さんが手放すわけないよ。あの人は馬鹿じゃない。」

いや、馬鹿だと思うよ？
結構感情的な言動多いよね･･･

「自分が連れてきたZOOLが、自分のポジションを守ってるって、わかってるよ。」
『冷静だったら分からなくもないけど･･･』

千「引き抜きは？棗くんがいるだろ。星影に所属してる。」

下「まぁ、同じような事考える人もいるだろうね。そうしたら、次の社長が可哀想だよねえ。」

「だよね･･･」
『ですよね･･･』

「じゃあ、また連絡するよ。お疲れ様！」

『お疲れ様でした！』

下岡さんに頭を下げて、駐車場まで歩く。

百と千はこの後、レコーディングが待ってるし、私は事務所で色紙に宛名を書く。
まだ半分くらいしか終わってない。

千に送ってもらってから、ひたすら色紙にペンを走らせた。

・

MV収録日。
朝一でやり始めて、あとちょっと！って言いながら色紙を書いていた。

衣装に着替えてからも楽屋で書いてて、さっき書き上がった。

『出来たぁ！』

「出来た？おめでとー！」

顔を上げると同時に、クラッカーがパーンと鳴った。

『び･･･っくりしたあ･･･』

「終わりが見えてたからさ、ユキと、やろうって言ってたんだー！」
「ふふ、びっくりした？お疲れさま。」

百と千が、にこやかな笑顔で私を見る。

つられて笑ってしまったから、慌ててメイク直し。

終わってから3人で楽屋を出た。

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