笑顔のキミが好き 【百】 26 （完結）

MV案（Re-raise） ページ23

ナギと話した数日後、“Re-raise”のMV案を目の前にしながら、そうちゃんの曲がラジオで一部披露されたと百から聞いた。

「僕なんかって言ってたあの子がさ。それだけで奇跡だよ。すごい成長だ。」

千も嬉しそうに目を細めながら言った。

「うん。本当にそうだね！」
『うん。そうちゃんは仲間に恵まれたよね。みんなと影響しあって、みんなが成長できてるもん。』

私の言葉に、千が急にしんみりしだした。

「どこが分け目になるんだろうな･･･。変化をした時に、成長って呼ばれるのか、不誠実って呼ばれるのか。」

その言葉は、私の胸にも刺さった。

私も同じだ。

万が、成長を促すような出来事や、私自身の成長で、記憶は減っていくんじゃと言ってた時もあったけど、結局時間も関係していた。
そして、一気に記憶が減っていく原因は、成長や出来事ばかりじゃない。

助けたくて、言いたくて、でも言えなかったりした自分の苦しみも、中には入ってる。

それは、端から見れば、不誠実に映る可能性もある。
ヤスのことも。

千が、自分では成長したって思ってると、今は幸福だと言った。

『大丈夫だよ。私にも、ちゃんと成長してるように見えるから。』

少しからかうように笑って言う。
千は嬉しそうに笑った。

のに、スマホを見て悪態をついた。

「･･･くそ、また振られた。」
「この前のプロデューサーさん？」

「僕をこれだけ振っていいのは、Aだけだ。次に会う時は、トロフィーと表彰状を持っていこう。」

「･･･Aだけって･･･」
『なに、その傲慢な考え･･･』

ってか、トロフィーと表彰状は、性格を信用してもらうには意味がないでしょ。
いや、それだけ必死だと伝わるからいいのかな？

「A以外で僕をこれだけ振った奴なんて、あの男位だよ。」
「なんてラビチャしたの？」
「今から仲直りしてやってもいいから、温泉に連れてって。」
『なんだそのツッコみ所満載のラビチャ！』

「え？駄目？」

百は絶対私と同じことを思ったに違いないのに、まあまあと私をなだめて、得意不得意があるから無理することないって千に言った。

【･･･こういう所、尊敬するわ。】

「ふふ･･･。モモはきっと上手に、僕を売り込んでくれるんだろうな。どんな風にやるか、やってみてよ。」

「ユキと一緒にいたらハッピーだよ！あんな世界一のイケメンいないよ！」

イケメンは関係ない･･･

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