笑顔のキミが好き 【百】 26 （完結）

三日月狼の記者会見　〜百side〜 ページ9

なんとなく時計を見ると、待ち合わせの約束の時間に着くために、混んでることを考えたら事務所を出るのにちょうどいい時間。

Aが行ってらっしゃいと手を振ってくれたから、手を振り返して、ボブと事務所を出た。


約束の駐車場。
道が混んでいなくて、予定より早く着いたから、車内でテレビを付けていた。

【あれ･･･？】

記者会見がニュースで流れる。

「三日月狼･･･TRIGGER･･･」

ボブが、チバシズオのリメイク！と、嬉しそうに言ってる。

うわ、めっちゃ格好いいじゃん。TRIGGER。

そっか。
頑張ってんだ。

逆風にも負けず、自分たちらしく前を向いている。
これはきっと、TRIGGERの３人の実力が認められたからこその賜物だろう。

「はは･･･。あはは！最高！めちゃくちゃ最高じゃん！」

真っ直ぐに歌ってる３人を見て、心がジンと熱くなった。

【ありがとう。エネルギー貰ったよ。】

Aのことも、ハッピーアワーのことも、不安に思ったりもするけど、オレたちなら大丈夫だ。

オレたちにはオレたちの絆がある。

了さん。あんたは知らないだろ。
故障するまで、フィールドを走り続けた時も、ユキの前で土下座した時も、Aに付き合おうって告白した時も、日記帳の秘密を聞いた時だって･･･

オレは勝つためにやってたんだよ。

オレの欲望が、オレのわがままが、手に入らないブドウに拗ねてる狐なんかに、負けるもんかよ。

【誰の道を塞ごうとしたのか、思い知らせてやる。】

待ち合わせの相手が来るのが見えて、オレが車から降りると駆け寄ってきた。
道が混んでいて遅れたらしい。

「会えて良かった。月雲さん。乗せてくれる？トップアイドルに、高級車の組み合わせじゃ目立っちゃう。」

ウインクして見せると、月雲さんは車に乗せてくれた。

・

「おはよう！今日はよろしくね！」
『おはようございます！』
「･･･おはよう･･･」

ユキが眠そう。

出入り口に警備員やボブが配置されて、観客なしの年始放送予定のNEXT Re:valeの収録が始まった。

百「今日のゲストは、人気上昇中！オレたちと同じ事務所で同期で女優さんの、Aで･･･さんです！」

『こんばんは！お願いします。1つ良いかな？』

「え？何？」

『凄い、さん付けしにくそうだったけど、別にいつも通り呼び捨てでいいよ。』
「あはー。バレちゃってた！」
『どうしてバレてないと思うのか謎。』

「くく･･･じゃあ、僕らの事もいつも通り、呼び捨てして。」
『うん。』

年始用の収録　〜百side〜→←年始の計画　〜百side〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す