屋上の音楽 3 ページ33
お互い仕事だし、聞くなとは言わない。僕らをズタズタにしてる自覚をして聞いて。それが人間らしいことだ、と千は言った。
マスコミ達からの質問がなくなると、百が笑顔で前へ出る。
百は、みんなが好きだと、胡散臭いけど、本当にみんな好きだと念を押すように言った。
「もし、みんなに嫌われちゃったら、残念だし、悲しいけど、しょうがない。無理矢理、好きになってなんて言えない。」
百が微笑んだ。
「オレたちを楽しめる時だけ、オレたちの傍にいてくれればいい。もしも、嫌気が差していなくなっても、また好きになってくれた時に、戻ってきてくれたら、それでいい。オレたちはここにいる。ずっと、変わらずにここにいるから。そうやって、楽しくやっていきたいな!オレたちは楽しいことが好き!」
“私たちは娯楽だから、離れていく人もいる。でも気分が向いたら戻ってきてくれる人もいる。それでいい。”
きっと百には、私の言葉が心にあるんだろうけど。
でも確か元々、百の言葉だったはず。
「みんなだって、そうでしょう?今日も楽しませるよ。」
百は、そう言ってウインクした。
非常階段から3人揃って屋上へ向かう。
私は3階位から、千は4階位でゼーゼー言い始めた。
「無理・・・」
『エレベーター使いたい・・・』
「頑張って!IDOLiSH7が待ってるよ!」
屋上で収録が待ってるから、足を止められない。
それに気づいたのか、百が私たちの腕を引っ張りながら笑う。
「ユキもヤスも、足止めない所が格好いい!」
「『そう・・・』」
「怒ってる?」
千と一緒に顔を上げると、百が申し訳なさそうに眉を下げていたから、千と顔を見合わせて笑った。
『むしろ感謝してるよ。千にもね。』
「僕は楽しんでるよ。モモは?」
「おんなじだよ。悪くないシチュエーションだよね。Aの事のフォローは、想像以上に最高だったし!」
屋上について、空を仰ぐ。
冬だけど風が気持ちいい。
汗を拭いて、鏡で確認。
うん。崩れてない。
「オレたちの曲が生まれるのに、ぴったりの場所だ。オレと、ユキと、ヤスの歌が。」
私参加してないけど、という目線を送ると、いいの!と言いたげに、百が笑った。
「それじゃあ、行くよ!みんな、用意はいい?」
皆で頷く。
「気持ちいいね。屋上って。世界を支配した気分。」
『階段頑張ったもんね。』
「ユキ、イケメン!ヤス、超イケジョ!」
3人で笑った。
「「『Re:valeで、“Re-raise”』」」
そうちゃんが鍵盤に指を滑らせた。
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ミズ ミズ(プロフ) - さざんかさん» 何度もコメントありがとうございます!何度も読んでいただけて嬉しいです✨頑張ろうって励みになるコメント、ありがとうございます😆 (4月30日 13時) (レス) id: 18ddd53bfe (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 続編を全て読了したあと、また一からここまで読み進めてしまいました😂本当に、何回でも何回でもときめいて、シーンごとに感動して、大好きです。百も、主人公も、ヤスも、なにもかも。またこれから続編を読もうと思います。本当に、煌めき沢山のお話をありがとう!! (4月30日 6時) (レス) @page50 id: 0d4c90c531 (このIDを非表示/違反報告)
ミズ ミズ(プロフ) - さざんかさん» コメントありがとうございます!こちらは心のままにほぼ欲望に忠実に書いてたものなので、そう言っていただけるのが恐縮ですが、嬉しくもあります。続編もあり、主人公の性格が微妙に変わったので気に入って頂けるかわかりませんが、気分が向けば、よろしくお願いします (8月15日 10時) (レス) id: 26c48aa660 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 完結おめでとうございます!執筆本当にお疲れ様でした!あれもこれもそれもどれも神がかってると言っても足りないくらい感動的で神秘的で、とっても素敵でした!✨️こんなに心揺さぶられる物語中無いです…ありがとう、と、切に切に申し上げます。ありがとう。 (8月15日 3時) (レス) @page50 id: 2d06e4d39c (このIDを非表示/違反報告)
ミズ ミズ(プロフ) - jackandeve1207さん» 長いお話で所々至らない部分が多かったと思いますが、読んでいただいてありがとうございました!続編ですか(`・ω・´)楽しそうですね!案練って、3月4月位なら可能かも・・・女の子目線、ガツンと書きたいなと思ってたんです(笑)ありがとうございます! (2021年2月3日 22時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miz | 作成日時:2020年3月5日 7時