122 〜万side〜 ページ41
『まあ百はその後、“バンさんの代わりなんてなれないの分かってるけど!めちゃくちゃおこがましくて申し訳ないけど!”って、まくしたててたけど。』
Aが笑う。
でも、すぐに眉を下げて言った。
『私、百の事を万だって思った事が裏目に出ると思わなかった。』
ごめんねと言いたげな表情。
でも謝罪を口にしないのはきっと・・・
「俺としたつもりだったんだろ?・・・それなら幾分かマシだよ。百くんと役の上でやったとして、あの表情が出るよりは。・・・俺だけが知っていたい表情だったけど、もっと色んな表情を知れたから。」
Aの顔を俺の方に向けて、キスを交わす。
離すと、やっぱり照れたように笑うA。
「でもやっぱり、この顔は、これから俺の前だけにして。」
『あはは。なんか万がこんなに独占欲強いのって変な感じ。・・・ちょっとくすぐったい。』
「駄目?」
『ううん。嬉しい。』
やけに素直だ。
Aが嬉しそうにしてくれるのも
俺の勝手な欲を嫌うことなく受け入れてくれたのも
Aが素直なのも
全部が嬉しくて、抱きしめた。
お互いに痛みや怠さが残る体を、何とか動かしてAが先にシャワーを浴びる。
『あ、あの・・・万・・・』
「ん?」
俺が朝ご飯の準備をしている間に戻ってきたAは、シャワーで温まったせいか顔が赤い。
『・・・あ、やっぱ何でも・・・あ、手伝うよ、朝ご飯。万、シャワーしてきて。』
夕飯の予定だったものを朝に回すだけだからと、説明してからシャワーを浴びる。
【・・・あれ?ここ、どこかで打ったっけ?】
風呂場の鏡を見て、自分の肩付近に小さな内出血の痕があるのを見つけた。
首を捻るも思い浮かばない。
一昨日はなかったはず。
ま、いいか。
ドライヤーをしてから戻って一緒に食事をした。
次に会う約束をして片付けて着替える。
「仕事だろ?送るよ。」
『大丈夫?』
「Aこそ大丈夫?」
お互いに体を気遣う。
Aが照れたようにぽつりと呟いた。
『今は大丈夫だけど・・・ヤスの衣装は・・・』
今は??
衣装?
「Re:valeの衣装?またきわどいのがあるのか?嫌なのとか?」
太陽のEsperanzaの時の衣装はきわどかったけど、AのRe:valeとしての衣装は基本的に際どいのは少ない。
視線が集中しないようにだろうとは思うけど。
だからか、ヤス単体のCMは物によって際どい。
でも、もうCM撮影はないはずだ。
引退するのだから。
Aが耳に髪をかけながら苦笑いした。
193人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:miz | 作成日時:2019年12月2日 8時