104 （ノースメイア） 〜万side〜 ページ23
「あれ？さっきぶり。」
「千。」
「千さん。」
「おー、ゆきりん。」
テレビ局を出て駐車場に行くと、千がいた。
移動するらしい。
「あのさ･･･ナギくん、脱退とか引退するの？」
「「「え？」」」
MEZZO"と俺の中に、物凄い緊張感が走る。
こいつは･･･また答えにくい事を･･･
そんなことにさせないために動いているのに、YesともNoとも言えない。
この先は、Aにしか分から･･･いや、誰にも分からないのかも知れない。
“みんな乗り越えるよ”
あれは、今回のことに限っては、ナギくんが戻ってくるようにも聞こえるし、ナギくんが戻ってこなくても乗り越えられるようにも聞こえる。
「あ･･･えと、ごめん･･･。僕、行くね。気をつけてノースメイア行ってきて。」
「あ、ああ･･･」
俺たちが何も言わないことで聞いてはいけない事だと自覚したか。
「あー。びびったー･･･ゆきりん、直球すぎねえ？」
「そうだね。でも、そうさせないために、頑張ろうね。」
環くんも壮五くんも、ホッとしたように言った。
陸くんと合流してから空港に行く。
飛行機の中で、環くんはアイマスクして、陸くんと壮五くんの手をギュッと繋いで、怖いと言っていた。
機内食と三月くんからのおやつを食べてる時は、気分転換みたいになってるようで、良かった。
俺たちがノースメイアに発ってから、日本中をめぐるニュースに気づくのは、もう少し後だった。
・
ノースメイアについて３日目、千へのバッシングに合わせて、俺の写真もネットに出回っていることを知った。
Aの家から朝帰りした日、ノースメイアにいく前日。
その両方の写真。
【このままだと、いずれ、IDOLiSH7に迷惑がかかる･･･事務所にも･･･Aにも･･･】
Aが元Re:valeだと載ってない所が、誰かの策略だと思わせるけれど。
とりあえずノースメイアにいる間は、仕事しよう。
Aや社長に告げるのは、帰ってからだ。
“･･･どこにも、行かないで。”
思い出すのは、寂しそうな、消えそうな、Aの表情と声。
全て合致する、Aの言葉と自分の想い。
自分がどう動くべきかの覚悟は、決まっていた。
ナギくんと会えたり、陸くんがナギくんに保護？されたりする中、時々スマホを見ては小さくため息を付いていた大和くんが、動かな･･･いや、固まっていた。
反応で、俺の記事じゃない事は明らかだ。
「どうしたの？」
「あっ！？あー･･･いや･･･」
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作者名：miz | 作成日時：2019年12月2日 8時
