情緒不安定 〜千side〜 ページ50
「最初ひとりでカチコミ行こうとした時は、どうしてやろうかと思ったけど。」
『2回目は、千だって同じことしようとしたでしょ。』
「そうだけど・・・」
「オレと一緒でクソムカついたからだよね!バンさんまでネタにした挙げ句、Aをワザと外したんだ。交渉の余地なんか、一切ないよ。本当はわかり合いたかったけど・・・。」
「モモ・・・」
モモは優しいな。
あんなんでも、わかり合いたかったとか思うなんて。
モモの優しさに感動していると、モモが、向こうにわかる気がないなら譲歩するしかないけど譲歩しない、だから終わりだと言った。
ギクッとする。
今の僕の状況に似ている。
「ぶつける相手をなくした悪意で、中毒を起こせばいい。」
モモが僕に言ってる状況を想像して、血の気が引いた。
『・・・千?』
Aが驚いたような表情で、僕の腕に触れる。
「僕を捨てないで・・・」
『え?』
「そんな話してた!?ユキのこと捨てるわけないじゃん!こっちの台詞だよ!」
「・・・なんが自分が言われてるような気になっちゃった・・・」
“未完成な僕ら”のアレンジにも、モモは全然OKくれない。
こんなにモモが渋るの初めてじゃない?
そう言いながら、気分はどんどん落ち込んでくる。
「はあ・・・。才能なくなったのかな。」
「そ、そんなことないって!色々全部いっしょくたにして、へこむの止めなよ!」
「そうですよ!最近、情緒不安定ですよ!ビタミン取ってください、ビタミン!」
『千。』
「何?」
『・・・言われたくないかも知れないけど、言うよ。』
Aが僕を真っ直ぐに見る。
『絶対に出来る。説得は私には分からないけど、千は、千自身の音楽してなきゃ生きていけないんだから。それだけ音楽に、真摯に一生懸命に向き合える人が、今までしてきた努力に見放されるわけないよ。』
未来を知ってるかどうかじゃない、Aの言葉が、心にしみ入って広がっていく。
【こういう所も好きだな・・・】
そう思って、ありがとうと言いながら笑った。
ーーーーー
いつも読んでいただいて、ありがとうございます!
すみません。
この章で終わると思っていたのですが、最終話だけはずっと書き上がってるんですが、話の数が足りないことになりました(汗)
少なくなるとは思いますが、次の章に移行させて頂きます。
よろしくお願いします!(>_<)
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作者名:miz | 作成日時:2019年10月17日 8時