笑顔のキミが好き【千】 5 (ページ41)

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スクープ　2　～千side～ページ41

事務所で金属バットを探していると、おかりんとAがやってきた。

ツクモに乗り込んでやろうとしている僕に、おかりんとAが解決方法として、僕が万を見捨てたわけじゃないことを万かAに説明してもらえば、ファンのみんなも納得して落ち着くとか、Aが元Re:valeって噂を流すか記事に書いてもらえばと言った。

冗談じゃない。
Aは記憶で、僕らの背景も知っているし、万と1年位会わなかっただけで、ほぼ付き合いがあるから、きっと全員の葛藤も思いも、知識として知ってるんだろうけど･･･

「見捨てたわけじゃないなんて僕の口からは言えない。万やAに言わせたくもないよ。Aは十分話し合って背景も知ってるから、気持ちを消化出来てるんだろうけど、モモと僕が納得してないことを、他の誰かに納得してほしくなんかない。」

『私だって、納得してないよ･･･。あんな方法じゃなくて、もっといい解決方法があればって思ってたよ。･･･私が言っても、どの口がって思われるかもしれないけど。』

分かってるよ。
Aだって納得なんかしてないだろうと思うよ。
あんな状況で、記憶に縛られて、Aのその時の苦しみだって、僕には計り知れない。

僕がもっとAと一緒にいれば良かった。
九条なんかに耳をかさなきゃ良かった。

好きなのに甘えてて、好きなのに頼れなくて、好きだからこそ、Aの変化に気づくべきだったのに。

人の心の機微に鈍感だった。
知ろうともしなかった。
それを後悔して、変わろうとしたから、今の僕があるんだ。

Aが、僕の方をやっと見てくれたんだ。

「･･･別にAを責めるつもりなんてない。モモと出会えて良かった。ヤスとしてでも、一緒にやり続けてくれて良かった。その気持ちに偽りはない。だけど、Aが怪我をして一生の傷を背負うことになって、万が怪我していなくなって、良かったなんて、一瞬でも思ったことはない。」

何度も抱いたA。
抱くたびに、左腕の傷が目に入る。

心が痛んだ初めの時も、それさえも愛しく思えるようになった今も。

全てを、受け入れるしかない。
それが正しいとか、間違ってるなんて、自分でさえわからないけど。
誰かに分かって欲しいなんて思っていない。

これは、僕の、僕らの人生だ。

「僕の人生を、僕らの選んだ道を、わかりやすいレシピにして、他人に説明する気は、一切、ない。」

最終的に、Aとおかりんは分かってくれた。