笑顔のキミが好き【千】 5 (ページ37)

今日:6 hit、昨日:20 hit、合計:23,039 hit

僕の曲　2　～千side～ページ37

「･･･なにしてるの。誘ったのはAだろ。」

ひょいとAの手をどけた。

『誘ってない。千のバースデー曲はフルで頭に残ってるんだ。だから好きって意味。･･･ごめん。』

フルで残ってる？
モモの曲、覚えてない風だったけど。
って事は、本編じゃないんだよね。

ポカンとしてると、Aは苦笑いした。

『不思議だよね。他のは記憶がなくなっていって、本編のも、もうサビしか残ってないのに、それだけ頭にあるの。』

「へえ･･･じゃあ、僕がどうして選んだのか分かる？」

聞くと、Aは迷ったような表情の後、モモと万の事をうたってるみたいだと言った。

「半分正解。」
『半分？』

「あと半分も自分で考えて。気が向いたら答え教えてあげるよ。」

そう言って笑った。

【でもそうか。僕のバースデー曲だけフルで記憶にあるなんて･･･】

いつもなら微妙な気持ちになるのに、嬉しい。

『何？』

僕が笑ったら、Aが不思議そうな顔をした。

「いや、運命みたいだなと思って。僕が、Aの記憶の始まりと終わりにいるんだなって事が、僕とAがずっと一緒って決まってたみたいで嬉しいね。」

そう言うと、Aも笑った。

『始まりは、千を偶然見たからだったけど、きっとそれが百だとしても、他の誰かだとしても、きっとこうなってたよ。･･･私は、Re:valeが好きだから。』

「･･･そうね。」

『･･･でも千が私のこと好きになるなんて出会った時は思わなかったし、私が千を好きになるのも思わなかったよ。お互いにタイプじゃないし。』
「性格はタイプだよ。」

『･･･正直すぎて、少しザクッとくるわ･･･』

頬を引きつらせたAが、そりゃあ顔はタイプじゃないの知ってるけど、とか、そもそも私は可愛くないし、とかブツブツと言ってるのを見て笑う。

顔を寄せながら囁いた。

「結局僕は、Aの全部が好きなんだから、いいじゃない。」

今度は、手の平で遮られなかった。

・

ナギくんがインフルエンザだということがテレビで言われた日、ボブを紹介された。

【マジか･･･】

でも、ボブを必要とするのは、主にモモやAだと思う。
勝手に裏で動いて危ない事して。

僕の家で２人共じっとして欲しいくらいだ。

志津雄さんとの約束を取り付けると、モモが言った。

「ねえ、皆に会う前に、反ツクモ同盟の核の部分の人に、ヤスがAだって言わない？」