笑顔のキミが好き【千】 5 (ページ36)

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僕の曲　～千side～ページ36

【･･･？】

まぶたが重くて、まだ眠いから寝ていたいのに、抱き枕も何もない。
眼を閉じたまま、僕の横をさわさわ腕を動かすも、何も手に触れない。

いたはずのAがいない。

目を閉じたまま、頭の所にある枕を掴んで引き寄せた。

【･･･Aの匂いがする･･･】

結局、感情にまかせて抱き潰してやろうかと思ったけど、それじゃ意味がないなと思い直して一緒にベッドで寝ただけだった。

今何時だ。

パタンと音がしても、そのまま目を閉じていると、布団がめくられて、Aの匂いが濃くなる。
うっすら目を開けて、ぼやける視界のまま、腕と思われる物を掴んで引き寄せた。

『･･･っ、うわ･･･っ』

枕を頭に移動させて、ギュウウッとAを抱きしめた。

『お、起きたの？』

「･･･ん。･･･眠い。」

スリ･･･とAの頭に自分の頬をくっつける。

『･･･千。』
「ん？」

『･･･好きだよ。』
「うん･･･」

僕も。という想いは音にはならず、そのまま、すぅ･･･と意識を手放そうとした。

･･････数秒後、叩き起こされた。

【酷い･･･】

・

モモの一日限りのラジオの日。
Re:valeとTRIGGERとIDOLiSH7の全員それぞれのリクエストをクジにして、それを引いた誕生月の担当ラジオパーソナリティが答えるという企画。

Aと家で聴いていた。

“永遠性理論”が出来たら、すぐに３人で暮らし始めたのに、モモが遠慮する。
モモが遅くなるって決まってる日は、自分の家に帰るって言ってきかない。

夜中に誰か来ても開けなきゃいいって言ってるけど、僕とAが寝てたりすると起こすのも嫌だし、２人の時間大事にしてと言う。

今日は帰ってくるねと話して、モモの曲が流れるとAと一緒に口ずさんだ。

「僕が選んだ曲も良いよ。楽しみにしてて。」

『うん。すごい好きだよ。』
「え。」

【何で急に告白？】

･･･え！？Aから言ってくれるのって、あまりないんだけど。

そっと肩に手を置いてAを寄せる。

まだモモが帰ってくるのは２時間位後。
少し位甘い時間を過ごしたって許されるはず。

「僕もAが好きだよ。」
『へ？』

色気ない返事だな。
まあ良いか。

先に誘ったのはAだ。

そう思って顔を寄せる。

「･･･目、閉じないの？」
『えっ！？あ。えと･･･』

「･･･まあ良いけど。」

今度こそとうっすら目を開けながら･･･

･･････Aの手の平とキスをした。