笑顔のキミが好き【千】 5 (ページ31)

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深夜から明け方にかけてのケンカ　～千side～ページ31

モモの家について鍵を開けると、そこにはモモが笑顔でいた。

ホッとして肩の力が抜けたのは一瞬で、お酒の臭いがするモモの口から出たのは、“Aの料理が美味しくて”だった。

ラビチャを見てないのか聞けば、見たという。

おかしい。

トウマくんに聞いた。
月雲と会ってモモの家に行ったって。

そう言うと、ひっかけられたんだとか寝るとか･･･

｢･･･っ、待て！おかしいだろ！？何を隠してる！？｣
｢何も隠してないよ！ユキだって眠い時は寝るだろ！？オレだって眠い時は寝たいんだよ！！｣
｢嘘だ！おまえはいつもそうだ！二度と僕を騙すなと言っただろ！？Aに聞いてもいいのか！？｣
｢隠してなんかないって！Aに聞くなら外に出てから聞いて！あのさ、眠くて機嫌悪いんだ！あんまゴネるとぶん殴っちゃうよ！｣

【は？僕を殴る？モモが？】

ありえない。
どんな事があっても、僕やAを守ろうとしてきたモモが？

言い合って家に入ると、怪しげな奴らがいた。
僕に寄ってきた奴をモモが殴る。
別の奴が、モモを殴った。

モモは逃げろと言ったけど、逃げられるわけがない。

「･･･っ、わかった！このまま自分の足でベランダから飛ぶ！それで終わりにして！頼むよ･･･！」

【は！？】

僕の中の何かがキレた。

なんでこいつは、いつもこうなんだ。
そんな事して僕が喜ぶと思ってるのか？

それとも･･･Aがいるから、変えてくれると期待してるのか？

･･･Aが、泣くと思わないのか？
僕らが出会った頃、Aがモモを好きだったのは、間違いないのに。

･･･バカにしてる。

【Aには頼らない。･･･僕が、モモを守る。】

ギュッと拳を作った。

僕なら出来る。
はったりでも何でも、利用できるものは利用する。

･･･２人と、離れないためなら。

精一杯演じて、血のイヴの話も出して、男たちに言った。

｢さあ。誰から悲鳴を上げたい？｣

震えそうな足や声も必死で抑えて、余裕そうな笑みを浮かべて男たちを見渡した。

迷ってそうな態度の男たち。
どうすれば諦めて帰るだろう。

【頭悪そうな奴って、横文字とかカタカナに弱いって聞くな。】

「ひとつ、おまえたちに教えてやろう。ブラックペッパーとホワイトペッパー。より辛いのは、ブラック。つまり、おまえたちに勝ち目はないってことさ。」

何でもいいから、僕が今思い出せるカタカナを口に出せばと思った。

僕の言動に、戸惑いと凄みを感じてる。