笑顔のキミが好き【千】 5 (ページ19)

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同棲再開　2　～千side～ページ19

それに、同棲を再開して、全く手を出さないようにするのは無理だ。

“僕との子供だよ？”
“欲しくない理由なんてないでしょ。”

そう思っても、Aはいつも僕の考えの斜め上をいく。
僕よりも、色んなことを沢山考えている。

周りの人や前世の記憶や、僕らの未来。
そしてファンのこと。

僕もファンは大事だけど、モモが1番大事に出来てる気がするし、Aも前世でファンだったんだよって万が言ってたから、モモの次にRe:valeが好きで、ファンの気持ちに寄り添えるんだろう。

そう思ってるから。

だから、もし欲しくない理由があるなら、本当はきっと、ファンや事務所を想ってる事くらい想像はつくんだけど。
でもそれ以外にあるなら聞きたいけど、さっきの様子だと他の理由はなさそうだ。

でも、結局は欲しくない理由があるんだから、手を出すのを控えた方がいい。
好きだから触れたいと思うのに。

【だから、誰よりも僕を選んでほしいと思うのは、僕のワガママなのか？】

でも、Aの気持ちも尊重したい。

そう、思ってるから言わなかったのに。

「A。･･･僕は、Aが困ることをするかも知れないけど、それでもいいの？」

Aの両腕をそっと掴んで、体を離す。
Aが僕を見上げた。

『･･･千は、私の嫌がることはしないよ。･･･困るような事も。でしょ？』

【こんなこと言われたら･･･】

僕を信じてる瞳。

信じてもらえることは幸せだけど、時に残酷だな。

「･･････そうね。」

でも、それでも。
これだけは困らせたとしてもお願いしないとね。

「じゃあA。モモも帰った事だし、モモとドラマでやった事を、それより長く同じ事してくれない？」
『へ？』

Aの顎を片手で掴む。

「Aと以前でも両思いだったモモとのキス、ドラマとはいえ僕が笑って許せると思う？」

『えーと･･･思う？』
「そこは思わないって言ってよ。」

目線を僕から外して、少し頬を引つらせながら言ったAに、思わずツッコんだ。

「今日から同棲再開なんでしょう？今じゃなくても、寝るまで時間はたっぷりあるよ。」

そう言って、Aから手を離した。

とりあえずお風呂のお湯だけ入れてこよう。
寝るまで時間はあると言っても、寝る頃にされると、こっちが困る。

リビングのドアに手をかけると、Aが僕の腕を取ったから振り返った。

近づくAの真っ赤な顔。
それが嬉しくて、目を閉じて受け入れた。