笑顔のキミが好き【千】 5 (ページ18)

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同棲再開　～千side～ページ18

『そう言われると困るんだけど･･･』
「どうして。」

Aは、変わらず困ったような顔をしながら頬を指で掻く。

『欲しくないわけじゃないんだけど、結婚と同じように大変になると思うんだよね。』

「だから僕が楽器の提案したりしたのが意味を持つんでしょ。そのために色々動く事を大変だとは思わないよ。」

『千･･･』

Aが僕を見て、静かに頬を染めて微笑む。

ああ、なんだろう。
抱きしめたい。

かわいい。

2人の間の空気は甘いのに。

チラッとモモを見ると、慌てたように背中を向けたけど。

【いや、人前は、ちょっと･･･】

ドラマじゃないんだし。

･･････ドラマ？

「･･･そういえば、モモとAのドラマ、キスシーンはフリだったの？」

聞かなかった。
いや、忘れてた。

撮影は終わったと言ってたのに。
2人が普通だったから。

モモがぐるっと振り返って言う。

「何で今！？ユキとAが、ちゅーする雰囲気だったでしょ！？」
『ち、ちゅーって･･･///』
「いや、しないよ。」
「いつもしてるんじゃないの！？」
「ドラマじゃないんだから、モモだとしても人前はちょっと･･･」

僕の言葉にモモが、あー･･･と言った。

「ユキ、シャイだから･･･Aもだけど。」

Aを見ると真っ赤。

【2人なら強くなれるのにな。】

結構な頻度でその自信はへし折られたりするけど、それも愛情だったり照れだったりするのを知ってるから、意外と嫌ではない。

「じゃあ、オレが帰ったらラブラブしてて！オレ帰るから！明日ユキの家で食事ね！」

モモが腰を上げて玄関へ行く。
Aと一緒に手を振って見送った。

「･･･で？モモとのドラマの答え聞いてないんだけど。」

『･･･急に強気･･･話がそれたと思ったのに･･･』

Aが嫌そうな顔をする。

【あ、嫌だな･･･】

なんとなく分かった。

実際に、したんだ。
モモと。
Aが。

ドラマとはいえ。

･･････ドラマなのに。
･･･ドラマだけど。

『･･････千。』

なに、と言おうとするも、うまく声が出なかった。

Aが抱きついてきた。
驚いて片足だけが一歩下がる。

『あの、同棲･･･忘れてると思うけど、今日から再開していい？』
「え。」

今度は声が出た。

忘れてはなかったけど、楽譜を渡して同棲再開するはずが、Aの体調が良くなってからとか生中継終わってからとか、子供欲しいか聞いてからとか思ってたから。